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  設定された動物の微生物学的状態が変化していないことを定期的に確認するための検査である微生物モニタリングの結果は、種親動物の授受や生産場からの動物入手に際して、微生物学的品質を証明する資料として重要であり、実験コロニーで得られた実験データが動物固有の感染症の影響を受けているかどうかを判断する有力な資料になる。


 
  SPF及びコンベンショナル飼育室では、下記に定めた微生物モニタリング検査を定期に行なう。微生物モニタリングは、センターが必要と認めた講座にモニタ−動物を配布して一定期間(4週間以上)通常の飼育を行なった後、血清等の検体を採取し、検査する。その結果は、疾患モデルセンター長が管理する。
(SPF飼育室に関しては、年2回分は利用者負担とする。)
     
 
定期に行う微生物モニタリング検査項目
(コンベンショナル飼育室:2回/年)
 
血清反応
マウス
ラット
Sendai virus 
Mouse hepatitis virus
Sialodacryoadenitis virus
Mycoplasma pulmonis
Clostridium piliforme (Tyzzer’s organism)
Hantavirus 
   
定期に行う微生物モニタリング検査項目
(SPF飼育室:4回/年)
 
血清反応
マウス
ラット
Sendai virus 
Mouse hepatitis virus
Sialodacryoadenitis virus
Ectromelia virus
Mycoplasma pulmonis
Clostridium piliforme (Tyzzer’s organism)
Hantavirus
LCM virus

 
 
   実験動物にかかわる微生物は、以下の5つの選択基準によって分類される。

             実験動物に係る微生物の選択基準                          

A:
B:
C:
D:

E:

動物からヒトに感染し、ヒトを発病させる恐れがある。(人畜共通伝染病)
動物を致死させることができる高度病原微生物で、伝染力も強い。
動物を致死させる力はないが、発病の可能性があり、生理機能を変化させる。
健康なマウスやラットの体内にしばしば存在するが、実験処置いかんでは病気を誘発する恐れがある (日和見感染病原体)。
通常は病原性を示さない。飼育環境の微生物統御の良否を判断する指標として有用である。


設定された動物の微生物学的状態が変化していないことを定期的に確認するための検査である微生物モニタリングの結果は、種親動物の授受や生産場からの動物入手に際して、微生物学的品質を証明する資料として重要であり、実験コロニーで得られた実験データが動物固有の感染症の影響を受けているかどうかを判断する有力な資料になる。
  
 
 
 
 
動物種:マウス・ラット
Sendai virus

HVJ
宿主 マウスとラット、(ハムスター、モルモット、ウサギ)
感染経路 経鼻感染
発生率 マウスとラットのコロニーでは、HVJが発症すると短期間に大半の個体が感染する
臨床症状 感受性に系統差
(高感受性:DBA /2、129/J、低感受性:C57BL/6)
乳仔:高感受性と高死亡率
病変 感染初期:肺の充血
感染極期:肺の赤肝変化
修復期:肺の灰色肝変化
感染経過 急性の感染症で、感染後10日以内に死亡あるいは、治癒
Mouse hepatitis virus

MHV
宿主 マウス
感染経路 経口感染、経鼻感染
発生率 コンベンショナル環境下で広く認められる(不顕性感染)
臨床症状 ヌードマウスなどの免疫不全状態のマウスに高感受性
(消耗病)
下痢などの消化器症状
病変 肝臓に灰白色、白色の斑点(壊死巣)
感染経過 ヌードマウス以外は慢性的に経過、
ヌードマウスは、感染後1‐2ヶ月で消耗病で死亡する
Sialodacryoadenitis
virus

SDAV
宿主 ラット
感染経路 気道感染
発生率 コンベンショナル環境下で高い感染率で認められるが、発症率はかなり幅がある
臨床症状 若齢ラットより、成熟ラットに顕著
下顎部の腫脹
眼けん部や鼻端部の血様赤色物の付着
病変 下顎部(唾液腺周囲のゼラチン様滲出物、
顎下腺や耳下腺の著しい腫大)
感染経過 急性
Mycoplasmapulmonis
宿主 マウスとラット
感染経路 経鼻感染
発生率 コンベンショナル環境下で認められる
臨床症状 気管支肺炎と中耳炎、旋回運動
病変 感染初期:肺に赤色肝変化
慢性期:灰白色の結節性病巣、
病巣内に膿性あるいはチーズ様の滲出物
感染経過 慢性
Clostridium piliforme
(Tyzzer's organism)
宿主 マウスとラット(ハムスター、モルモット、ウサギ)
感染経路 経口感染
発生率 散発的
臨床症状 不顕性感染
下痢、体重減少、削痩
病変 消化管粘膜に出血や軽度浮腫、
肝臓に1−2mmの白色あるいは黄色の壊死巣、
心臓に数mmの白色あるいは黄色の斑点
感染経過 感染後数日以内に病変が現れる
最初に消化管、後に肝臓と心臓に広がる
Ectromelia
virus
宿主 マウス
感染経路 接触感染、気道感染
発生率 日本ではまれであるが、海外では発生率は高い
臨床症状 感受性に系統差
(高感受性:DBA /2、BALB/c、低感受性:C57BL/6)
病変 肝臓や脾臓の壊死、消化管の充出血
病変部に大型のエオジン好性細胞封入体
感染経過 急性型:立毛、行動が不活発、死亡
慢性型:皮膚に発疹や水疱、四肢末端、尾端、耳翼の壊死
     

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