GMFCS (Gross Motor Function Classification System) E & R

 Robert Palisano を中心としたMcMaster大学のNeurodevelopmental Clinical Research Unit(現CanChild)のメンバー( Peter Rosenbaum を含む))によって考案されたGMFCSは、脳性麻痺児の粗大運動能力を元にその重症度を分類する評価尺度であり、現在、全世界で使われています.2007年に新たに12歳から18歳までの年齢帯が付け加えられ,さらにICFの参加に関わる概念を取り入れて部分的に改変されたGMFCS Extended & Revisedが考案されました1).今回このGMFCS E &Rの日本語版をback-translationなどの作業が行った上で、本ホームページに掲載・ダウンロードすることができるようにいたしました.

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同じPDFファイルが、CanChildのホームページ

 (http://motorgrowth.canchild.ca/en/GMFCS/expandedandrevised.asp)

からもダウンロード可能です.

 GMFCSは、子どもの坐位をとる能力および移動能力を中心とした粗大運動能力を元にして,6歳以降の年齢で最終的に到達するレベルI:制限なしに歩く,II:歩行補助具なしに歩く,III:歩行補助具を使って歩く,レベルIV:自力移動が制限,レベルV:電動車いすや環境制御装置を使っても自動移動が非常に制限されているという5段階の機能レベルに分け,各レベルに最終的に到達する脳性麻痺児がどのように発達してくるかを,それ以前の年齢毎に想定して,重症度を分類しています.運動能力が年齢によって変わっていくことを考慮に入れて,それぞれのレベルに対して,2歳まで,2〜4歳,4〜6歳および6〜12歳の年齢に分けて説明を行っていますが、内容をこのように構成することによって,基本的には年代があがって粗大運動の発達が起こっても,あてはまるレベルが大きくは変化しない性質という性質があります.

 GMFCSの計量心理学的特性は,北米で1997年にPalisanoら2),2000年にWood とRosenbaum 3)によって検討されています.考案当初よりPalisanoらはもしこのシステムに予測的な妥当性があれば,早い時期に分類を行うことによって,最終的な子どもの運動能力を予測することが可能となるだろうと推測していましたが,横断的なデータによる予測的妥当性はPalisanoら4)によって2000年に,縦断的なデータによるものはRosenbaumら5)によって2002年に検証されています.また,従来の片麻痺,両麻痺などの麻痺の分布による分類に比べて,運動障害に対する予後予測性が高いことがGorterら6)によって示されています.さらに他の言語に翻訳されたバージョンの信頼性のデータもいくつか報告されており7), 8),日本語版のもの2003年にKondoら9)によって検討され,一致度の指標となるKappaが0.64と報告されています.また再度の信頼性検討とDelphi法による内容妥当性の検討も行われています10)

 現在は北米のみならず,国際的にも広く普及しています11).日本へは2000年に紹介され12),国内の施設でも広く使われています.GMFCSの出現により,これまで恣意的に決められてきた軽症,中等症および重症などの運動障害の特徴が統一され,また専門職間での重症度への認識の差も無くなったと言えます.

文献

1) Palisano R, Rosenbaum P, Bartlett D, Livingston M: Content validity of the expanded and revised Gross Motor Function Classification System. Dev Med Child Neurol, 50:744-50, 2008.

2) Palisano R, Rosenbaum P, Walter S, Russell D, Wood E, Galuppi B: Development and reliability of a system to classify gross motor function in children with cerebral palsy. Dev Med Child Neurol, 39: 214-223, 1997

3) Wood E, Rosenbaum P: The gross motor function classification system for cerebral palsy: a study of reliability and stability over time. Dev Med Child Neurol, 42: 292-296, 2000

4) Palisano R, Hanna S, Rosenbaum P, Russell D, Walter S, Wood E, Raina P,  Galuppi B: Validation of a model of gross motor function for children with cerebral palsy. Phys Ther, 80: 974-985, 2000.

5) Rosenbaum P, Walter S, Hanna S, Palisano R, Russell D, Raina P, Wood E, Bartlett D, Galuppi B: Prognosis for gross motor function in cerebral palsy, creation of motor development curves. JAMA, 288: 1357-1363, 2002.

6) Gorter E et al.: Limb distribution, motor impairment, and functional classification of cerebral palsy. Dev Med Child Neurol. 46: 461-467, 2004

7) Lundkvist A, Granat E, Nordmark E, Westbom L: Interrater reliability of the Gross Motor Function Classification System in a Swedish version. Dev Med Child Neurol, 41 (Suppl. 81): 18 (Abstracts) , 1999

8) Gortner JW, Van Panhuls M, Ketelaar M: Using Gross Motor Function Classification System: the value of short introduction compared to extended training. Dev Med Child Neurol 2002; 44 (Suppl. 92): 45

9) Kondo I, Hosokawa K, Soma M, Iwata M, Sato Y, Iwasaki M, Rosenbaum P:  Gross Motor Function Classification System: Preliminary study for Japanese children. Am j Phys Med Rehabil, 82: 116-121, 2003.

10) Izumi Kondo, Toshio Teranishi, Manabu Iwata, Shigeru Sonoda, Eiichi Saitoh: Reliability study of Gross Motor Function Classification System and Delphi survey of expert opinion for clinical use of this system in Japan. Jpn J Rehabil Med. 46:519-526,2009

11)藪中良彦,園田茂,近藤和泉,川原田里美:粗大運動能力分類システム(GMFCS)レビュー:信頼性,妥当性,有効性.総合リハ,38,2010(掲載予定)

12) 近藤和泉:脳性麻痺児のリハビリテーションに対する近年の考え方と評価尺度,リハ医学,37:230-241, 2000

 2007.4.20 ss