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結核・発病防止の対応について

患者さま・ご面会の皆様へ

平成22年10月19日
学校法人藤田学園 健康管理室長
藤田保健衛生大学病院 病院長

結核は過去の病気ではありません。現在でも1年間に人口10万人に対して約20人の日本人が結核を発病しています。藤田保健衛生大学病院でも年間20~30人の患者さまが感染性のある結核と診断されており、患者さまが予期せずにあるいは不可避的にこれと接触してしまうことがあります。その際には保健所と協力して、厳格な感染防止対策を実施しています。しかしながら患者さまには、病院という環境が結核をはじめとする感染症に関して、危険な環境であるという認識をお持ちいただければと思います。
さて今年度当院におきましては、例年に比べ教職員の結核発病が目立ちます。最近では20代の看護師が排菌陽性の感染性結核と診断されました。幸い発症後10日程度と比較的早期に発見・診断されましたが、保健所の指導の下に接触のあった教職員と一部の患者さまについては接触者健診を実施し、他の患者さまや教職員に感染していないかどうか調査を行う予定です。 この他に今年度は当院職員から2件の感染性結核が発生しており、同じく接触者健診を実施しました。今のところ患者さまや教職員から明らかな発症者は発見されていませんが、引き続き監視が必要な状況であり、保健所の助言の下に対策を継続しています。さらに、これら以外に4件の当院職員の非感染性結核が、健康診断やT-スポット検査などを契機に発見されています。
結核は発病すると倦怠感や微熱、咳嗽、喀痰などの症状が出現します。診断が遅れると病気が悪化するだけでなく、自分自身が感染源となる危険性があります。上記症状が2週間以上つづく場合は、呼吸器内科専門医を受診して、適切な診断と治療を受けて下さい。


結核の知識

1.結核の「感染」と「発病」

結核は「感染」と「発病」を区別して考える必要があります。感染しても発病するのは10人に1人程度です。発病する場合は、感染後2年以内にそのリスクが大きく、この間に感染者の約8%が発病し、その後も生涯に渡ってリスクがつづきます。感染したのが直近、特に1年以内であることが明らかな場合、イソニアジド(INH)により発病の約半数を予防することができます。
日本では過去の蔓延状況の影響から既感染者が多く、20歳代で1~1.5%、30歳代で2~3%、40歳代で4~7%、50歳代で10~18%、60歳代で30~40%、70歳代で50~60%の方が既感染者であり、発病のリスクの下にあると推定されています。そして医療職の既感染率はこれよりも相当に高いといわれています。当院では、発病前の感染者を発見して発病を未然に防ぐため、3年前からクオンティフェロン検査(次項参照)を積極的に取り入れており、今後3~4年かけて教職員全員の検査を実施する予定です。

2.T-スポット.TB検査

T-スポット.TB検査(T-SPOT)は被験者から採取した全血より分離させた末梢血単核球(PBMC)から、結核菌特異蛋白刺激によって遊離したインターフェロン γ産生T細胞数を測定して結核菌感染を調べる検査です。結核感染に対しては感度97%、特異度99%の診断能をもつといわれます。ツベルクリン反応と異なりBCGワクチン接種の影響を受けないため、結核感染の診断にきわめて有用とされています。

3.藤田保健衛生大学病院の結核対策

当大学病院では感染性の結核患者が発生した場合、直ちに(即日)保健所へ発生届を出すと同時に、感染対策室または健康管理室に報告書を提出することが義務付けられており、それが厳格に運用されてきました。発生報告を受けて、感染対策室と健康管理室が事例の調査を行い、他の患者さまや病院スタッフ、実習中の学生への感染の危険の有無を調査・評価し、必要な場合は接触者健診を実施しています。通常国の基準よりも厳格に対応しており、最近では年間7~8件が接触者健診の対象となっています。接触者健診の実施状況は逐次保健所へ報告し、その指導と協力の下に必要な対策を実施しています。近年、結核感染の診断にQFTやT-スポット検査を導入したこともあり、このような接触者健診の過程で既感染も含めて年間数名の職員の結核感染が明らかになり、発病予防のための投薬を行うなどの対応をしています。

追記(平成22年11月29日)

平成22年11月26日にクオンティフェロン検査が陽性化した患者さま1名が認められ、発症はしておりませんが、念のため発症予防の処置が行われました。
今後も引き続き感染拡大防止に努めてまいります。