医療事故の評価と事故防止への反映

1.医療事故の評価・分析

医療事故報告書に基づき、発生部署や安全管理室、事故防止対策委員会において、以下の事項について評価、検討し、その後の事故防止策へ反映させる。

1.医療事故報告に基づく事例の原因分析

1.事象の整理 何がどのような過程で起こったか、事実を把握するために報告書を作成する。必要があれば、関係者へのインタビューを行う。
2.問題点の抽出 医療事故に関わった人や物、事象等を時系列に整理し、各々の関連を見て、問題点を抽出する。
3.背後要因の探索 なぜそのような事象が発生したのか、発端となった直接的な原因とその背後に潜む要因を探し出す。
4.対策案の列挙、決定 より具体化した実効性のある対策を立案する。

2.発生した事故について、組織としての責任体制の検証

事故の当事者として「個人」の責任を追求するのではなく、診療科や部署・部門全体として、あるいは診療科や部門間の連携、病院幹部と各現場との連携等、組織全体としての事故防止に向けての体制のあり方を評価する。

3.講じてきた医療事故防止対策の効果の評価

  1. 上記項目で策定した事故防止策が、各部門で確実に実施され、事故防止や医療の質の改善に効果を上げているかを評価する。
  2. 一定期間の経過後、実施状況を調査し、実施している対策が現状に即して機能しているか、妥当性を評価する。
  3. 新たな問題が発生している場合、その改善策を検討する。

4.同様の医療事故事例を含めた検討

  1. 報告された医療事故やインシデントを分析し、カテゴリー分類することにより、事故発生の傾向を把握する。他施設で発生した事例も参考に検討を行う。
  2. 類似事例から事故発生の根本原因を分析し、システム上、あるいは医療従事者として改良・改善すべきポイントを抽出し、類似事例の防止に反映させる。

5.患者や家族からの相談や苦情

患者・家族からの相談や苦情内容から、事故防止に関連する事項について防止策を検討する。

6.その他、医療事故の防止に関する事項

その他、医療事故の防止に関する事項

2.医療安全の確保を目的とした事故防止策の推進と周知

医療事故の発生予防及び再発防止のための情報を収集するとともに、医療安全に必要な情報を院内各部署、各職員に提供するために以下の取り組みを行う。

  1. 報告事例の分類・集計結果の報告
  2. セーフティマネージャー連絡会の開催、事故防止策の推進
  3. 安全管理に関するポスターの掲示
  4. セーフティニュースの発行
  5. マニュアル等の作成および見直し
  6. セーフティマネージャーによる巡視
  7. 医療安全研修会の開催
  8. 事例検討会の開催
  9. 事例集の作成
  10. 日本医療評価機構からの安全情報、他施設における事故事例の情報提供
  11. 医薬品・医療機器メーカーへの改善要求
  12. その他