医療安全管理指針

(目的)

第1条 この指針は、医療法(昭和23年法律第205号)第6条の12に基づき、医療の安全を確保するために必要な組織、体制、基本的な考え方を定めることを目的とする。

(医療安全に関する基本的考え方)

第2条 藤田医科大学病院(以下、当院という)の安全管理の基本的な考え方は、患者の生命を守ることが使命であり、本来どんな些細なことであっても患者に損害(心身及び物理的損害)を与えてはならないということである。
  安全な医療サービスを提供するために、「人間はエラーを犯すものである」ということを前提に個人とチーム全体でチェック機能を強化する。不幸にして、本来起きてはならない医療事故が発生した場合は、個人の責任を追求する目的でなく、その事故の正確な情報を収集し、適正に分析し対策を講じて再発を防止することに努める。 
  更に、医療の安全性に関する教育・研修を教職員及び学生に対し積極的に行う。

(医療安全管理に関わる組織及び体制)

第3条 当院における医療安全対策と患者の安全確保を推進するために、次の各号に掲げる組織を設置し、人員を配置する。
(1)医療安全管理責任者
(2)医療問題対策委員会
(3)医療事故調査委員会
(4)事故防止対策委員会
(5)医療の質・安全対策部
  ア.安全管理室
  イ.医療の質管理室
(6)医療安全推進者(セーフティマネジャー)
(7)医薬品安全管理責任者
(8)医療機器安全管理責任者
(9)患者相談窓口

 

(医療安全管理責任者の配置)

 第4条 医療安全管理責任者は、病院長から委譲された権限に基づき、院内診療各部門、部署、各種委員会に対して医療安全に関する情報収集と分析、対策の立案、事後評価及び医療事故の発生予防と発生した事故の影響拡大の防止、職員の安全管理教育に努める役割を果たすため、次の各号に掲げる業務を行う。
(1)医療の質・安全対策部、医薬品安全管理責任者及び医療機器安全管理責任者の統括
(2)職種横断的な組織としての安全管理室の運営と医療問題対策委員会の統括及び各種医療安全に関する委員会の開催
(3)必要に応じて病院長と協力して、医療事故の内容や緊急性に応じて適宜対応策を立案する組織体制の構築
(4)事故等の防止策の周知や実施の状況など、事故等を防ぐための方策の取組状況の確認、及び不十分な場合の研修及び指導の実施
(5)安全文化(「医療に従事する全ての職員が、患者の安全を最優先に考え、その実現を目指す態度や考え方及びそれを可能にする組織のあり方」の意)の醸成の促進
2.医療安全管理責任者は、副院長(医療安全担当)をもって充てる。

 

(医療問題対策委員会、医療事故調査委員会及び事故防止対策委員会の設置)

第5条 当院における医療事故及び医事紛争の予防対策等の推進を図るため、医療問題対策委員会を設置する。
2.医療問題対策委員会は、当院において発生した重大な医療事故に関しその原因等を調査、検討するために、必要に応じ、事例検討会又は医療事故調査委員会を設置する。ただし、医療法第6条の10第1項に規定する医療事故(当院に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、病院長が当該死亡又は死産を予期しなかったものとして厚生労働省令で定めるもの)に該当するときは、「医療法上の医療事故調査委員会規程」に基づき対処する。
3.医療問題対策委員会は、当院における事故の防止と安全管理上の体制の確保及び推進を図るため、事故防止対策委員会を設置する。
4.前各項に定める委員会の組織及び運営等については、別の規程に定める。

 

(医療の質・安全対策部の設置)

 第6条 当院の医療に係る安全管理体制を確保するために医療の質・安全対策部を設置する。
2.医療の質・安全対策部長は、副院長(医療安全担当)をもって充てる。
3.医療の質・安全対策部の下に、第3条第5号に掲げる組織のほか、感染対策室を設置する。
4.感染対策室の組織、人員、業務等については、別の規程に定める。

 

(安全管理室の設置)

第7条 安全管理室は、医療の質・安全対策部長の管理の下、業務を遂行する。なお、安全管理室には、安全管理者を配置する。
2.安全管理室には、専従の医師、薬剤師及び看護師を配置する。
3.安全管理室の運営については、別の規程に定める。

 

(医療の質管理室の設置)

 第8条 「医療を受ける者(患者)の利益の保護」を図るため、医療の質(技術、能力、成果)を向上させ患者に「良質かつ適切な医療」を提供することを目的として、医療の質管理室を設置する。
2.医療の質管理室の運営については、別の規程に定める。

 

(医療安全推進者(セーフティマネージャー)の配置)

第9条 医療現場での安全を推進する役割を担う者として、各部署に医療安全推進者(セーフティマネージャー)を配置する。


(医薬品安全管理責任者の配置)

 第10条 医薬品に係る安全管理体制を確保するために、医薬品安全管理責任者を配置する。
2.医薬品安全管理責任者は、薬剤部長をもって充てる。
3.医薬品安全管理責任者は、医薬品安全使用のための業務手順書の作成、研修の実施、業務手順書に基づく業務、未承認等医薬品の使用の情報その他の情報収集、その他の医薬品の安全使用を目的とした改善のための方策の実施を行う。

 

(医療機器安全管理責任者の配置)

11 医療機器の保守点検・安全使用に関する体制を確保するために、医療機器安全管理責任者を配置する。
2.医療機器安全管理責任者は、臨床工学技士かつ医療機器に精通した者をもって充てる。
3.医療機器安全管理責任者は、医療機器の安全使用のための研修の実施、保守点検に関する計画の策定と保守点検の適切な実施、医療機器の安全確保を目的とした改善のための方策の実施及び情報収集等の業務を行う。

(医療安全管理のための教育研修)

12 医療安全に関する基本的な考え方及び具体的方策について教職員へ周知徹底を図るため、組織的な研修会を計画的に開催し、併せて医療安全に対する教職員の意識向上を図る。
2.医療安全に関する研修会については、「事故防止対策委員会規程」に定める。
3.教職員は、できる限り研修を受講するよう努めなければならない。

(医療に係る安全の確保を目的とした改善の為の方策)

 第13条 医療に係る安全の確保を目的とした改善のための方策のための方策として、報告、調査及び検討、評価及び分析を行う場合の取扱いは、次の各号に掲げるとおりとする。
(1)報告
 ア.  教職員は事故が発生した時は、安全管理報告に入力し、安全管理室に報告する。ただし、緊急を要する場合は、直ちに口頭で上司へ報告する。
 イ.  報告の方法は、医療事故防止マニュアルに定める。
ウ.  安全管理報告は、事故の調査・検討・評価・分析により類似事故の再発を防止及び患者満足度の向上の目的に限り使用するものとし、教職員の懲戒、責任追及のために用いられてはならない。
エ.  安全管理報告は、安全管理室及び安全管理関連の委員会や連絡会においてのみ使用し、対外的に開示、公表しないものとする。
 (2)調査及び検討
ア.安全管理室では、当院全体の医療事故情報を一元化し、調査及び検討を行い、再発防止のための改善策を図るものとする。
イ.事故のレベルにかかわらず、重要な事例が発生した場合は、「医療問題対策委員会規程」に基づいて、原則として事例検討会において検討するものとする。ただし、高度な障害や死亡など結果が重大で、事故原因についての判定が困難であるものについては、医療事故調査委員会において調査及び検討を行う。
(3)評価及び分析
ア.安全管理報告に入力された事例は、各部署の医療安全推進者(セーフティマネージャー)及び所属長が確認の上、評価及び分析を行う。
イ.安全管理室、事故防止対策委員会は、報告された事例から問題点を把握し、事故の再発防止のために組織的な改善策を計画立案し、実施状況を評価する。  
ウ.前号に掲げる問題点、改善策及びその実施状況は、医療安全推進者(セーフティマネージャー)及び所属長を通じて、教職員へ速やかに周知する。
2.医療事故防止のために、次の各号に掲げる具体的な方策を講じるものとする。
 (1)マニュアル等の作成及び見直し
 (2)安全管理に関するポスターの掲示
 (3)日本医療評価機構からの安全情報の提供
 (4)事例集の作成
 (5)その他医療事故の防止に関する事項
3.医療の質の指標として、次の各号に掲げる事項の測定を行う。
 (1)医療安全に資する診療内容のモニタリング
 (2)職員の医療安全の認識の状況の確認

 

(医療事故発生時の対応における基本的な考え方)

 第14条 医療事故が発生した時の対応における基本的な考え方は、次の各号に掲げるとおりとする。
(1)倫理性
  医療事故が発生した場合は、誠実な対応を旨とし、自らの行動に説明責任が伴うことを念頭において行動しなければならない。
(2)公平性と客観性
 医療事故が発生した場合は、公正で客観的な判断と対応が不可欠であり、当院全体の組織としての判断と対応が求められる。現場の当事者限り、又は当該診療科等限りで判断して対応してはならない。
(3)迅速性
ア.医療側の過失によるか否かにかかわらず、患者に望ましくない事象が発生した際は、可能な限り、まず医師・看護師等の連携の下、当院内の総力を結集して救急処置を行い、患者の救命と被害の拡大防止に全力を尽くす。
イ.患者家族に対しては速やかに事実の説明を行う。
ウ.重大な医療過誤が発生した場合は、現場当事者のみならず当院全体で、組織として対応する。

 

(患者への情報提供)

15 本指針の内容を含め、患者との情報の共有に努めるものとする。
2.患者及び家族は、診療録を含め本指針の閲覧ができるものとする。

(患者相談窓口の設置)

16 患者等からの苦情、相談に適切に応じるため、患者相談窓口を設置する。
2.患者相談窓口の運営については、別の規程に定める。

(その他医療安全の推進のために必要な基本方針)

17 高難度新規医療技術を用いた医療技術を提供する場合は、関係学会から示される「基本的考え方」やガイドライン等を参考に実施する。


(本指針の周知)

 18 本指針の内容は、医療問題対策委員会、事故防止対策委員会等を通じて、教職員に周知徹底する。

(本指針の見直し)

19 医療問題対策委員会及び事故防止対策委員会は、年1回以上、本指針の見直しを行うものとする。

(改正)

第20条 本指針の改正は、理事会の決議による。
                                                                       
                                                            令和元年5月1日改正