25周年を迎えて

icon 歯科講師 藤井 航 icon

 七栗サナトリウム歯科が、開設されたのは2001年4月のことで、早くも10年の月日が経ちました。七栗サナトリウム開設25周年を迎えるにあたり、その歴史について振り返りたいと思います。
歯科開設前までは、近医による訪問歯科診療が行われていましたが、積極的に治療がなされていた訳ではありませんでした。1999年から2000年にかけて厚生科学研究「口腔保健と全身的な健康状態の関係」班研究「歯科治療による高齢障害者の身体機能の改善に関する研究」の一部として、愛知県歯科医師会と三重県歯科医師会の共同事業により、歯科治療が高齢障害者のADLやQOLへの影響について調査が行われました。その結果、高齢障害者の歯科治療はその本来の効用を十分に持つと同時に、身体機能や障害に対する改善効果を認めました。これがきっかけとなり、1年間の準備期間を経て、歯科開設の運びとなりました.。
 開設当時は、非常勤歯科医師2名、非常勤歯科衛生士1名、歯科用ユニット2台、週2日の診療でしたが、翌年より週3日の診療となりました。2005年に障害者用歯科診療ユニットがnakanishi1台導入されました(写真1)。2007年4月に第一病院歯科口腔外科から私が常勤として赴任し、以降週5日診療(水曜休診)にて現在に至っています。
現在は、常勤歯科医師:藤井航、非常勤歯科医師:岡田猛司、常勤歯科衛生士:永田千里、非常勤歯科衛生士:坂口貴代美の4人で日々の臨床を行っています。歴代の非常勤歯科医師は、松尾浩一郎先生、服部史子先生、元橋靖友先生、内宮洋一郎先生、石飛進吾先生、三串伸哉先生、立松正志先生、都島千明先生、嶋田剛先生、尾崎研一郎先生、中山渕利先生、飯田貴俊先生の12名、非常勤歯科衛生士は、中谷智子さん、谷口美奈さんの2名にご尽力頂きました(年代順)。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
 当科は、日本障害者歯科学会臨床経験施設に認定されているため、日本全国から歯科医師や歯科衛生士が見学や研修に来科されます。また、三重県歯科医師会との連携で「病院歯科における口腔ケア実践研修事業」研修施設になっています。さらに、三重県立公衆衛生学院歯科衛生学科、伊勢保健衛生専門学校歯科衛生学科の臨地実習先として年間約60人の歯科衛生士学生臨地実習を受け入れています。
 歯科診療は、入院患者さんの口腔ケアを中心に、歯周病治療、う歯治療、義歯製作・調整、抜歯などを行っています。また、デイケアにて介護保険の「口腔機能向上プログラム」も行っています。口腔ケアについては、歯科室のみならず、病棟の洗面台や訪室によりベッド上で行う場合もあります.。
 また、摂食・嚥下リハビリテーションチームの一員として、嚥下回診やカンファレンス、嚥下造影検査(VF)・ビデオ内視鏡検査(VE)、嚥下調整食試食検討会などに参加、さらに舌接触補助床の製作など摂食・嚥下障害に対して歯科的な側面からのアプローチも行っています。
さらに、NSTの院内総合メンバーでもあり、NSTミーティングへの参加や七栗Metabolic Clubでの講演なども行っています。
このように、25周年を迎える七栗サナトリウムのなかで、まだ歴史の浅い当科ではありますが、口腔ケアや摂食・嚥下リハビリテーション、歯科的治療など、口腔からのアプローチにより微力ながら七栗サナトリウムの一員として貢献することができればと思います。
今後とも、七栗サナトリウム歯科をよろしくお願い申し上げます。

写真1:(歯科室の障害者用歯科診療ユニット:一般の歯科診療ユニットとは違い、車椅子より左右どちらからでも移乗できるよう、回転型チェアと術者/介助者用カートユニットが独立しています。)

 

 

 

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