91回医学セミナー(第21回特別講演)

 

題目: 「ネトリンGと神経回路の精緻化」


演者: 理化学研究所脳科学総合研究センター行動遺伝学技術開発チーム

     糸原 重美 先生

 日時: 平成171130()
      午後430分〜530

 場所: 医学部1号館3階 317号室

 座長: 黒沢 良和 先生

 

 高等動物の脳機能は高度に発達し、統制された神経回路網

によって担われている。その破綻は、各種精神疾患の基礎で

あると考えられる。過去10余年の間に、軸索誘導に関わる分

子群が多数同定され、おおまかな軸索投射の分子基盤の理解

については大きな進展が見られた。しかしながら、機能的神

経回路の精緻化および維持機構についての知見は乏しい。ネ

トリンG1および ネトリンG2は軸索誘導因子ネトリンファ

ミリーに属する脊椎動物特異的分子であり、GPIアンカーに

より膜に結合する。これらは受容体を古典的ネトリン と共

有せず、機能的に重複しない。さらに、両分子は異なった脳

領域で相互排他的に発現し、各々独自の機能を有していると

考えられる。最近、ネトリンG1およびネトリンG2各々に固

有の受容体が存在する事を明らかとした。ネトリンG1および

ネトリンG2各々の欠損変異マウスの解析結果は、軸索上のネ

トリンG1およびネトリンG2が軸索の投射先で樹状突起上の

特異的受容体分子の 神経回路特異的局在を制御する事を明ら

かとした。これら変異マウスは、固有の行動学的異常を示した。

さらに、ヒトの遺伝学的解析によると、両遺伝子が統合失調

症に関与する可能性が示唆された。これらの結果は、ネトリ

Gとその受容体が脊椎動物の脳における神経回路の高度化

および精緻化を担う事を示唆している。

 

世話人: 小児科学教室 浅野喜造(2367)

     微生物学教室 辻 孝雄(2432)