98回医学セミナー (第23回特別講演)

 

  題目: 「ヒトパピローマウイルスによる
              細胞不死化の分子機構」


  演者:
国立がんセンター研究所

          ウイルス部部長 清野 透 先生

 日時: 平成18年4月26日(水)
      午後4時30分〜5時30分

 場所: 医学部一号館3F、317号室

 座長: 松浦 晃洋 先生

 

 ヒトの正常細胞は一定回数分裂すると"老化"し増殖を停止する。ほとんどのがん細胞はこの老化プログラムから逸脱しており無限増殖能を獲得している。ヒトパピローマウイルスのいくつかの遺伝子は皮膚や乳腺由来のヒト初代上皮培養細胞を高率に不死化することができる。E7はがん抑制遺伝子産物RBを不活化する事により、またE6はテロメラーゼを活性化することにより共同してこれらの細胞を不死化する。その他のヒト正常細胞の中にはテロメラーゼを活性化するだけで不死化するものがある一方、RBを不活化しテロメラーゼを活性化してもなお不死化しないものもある。この違いを解析しヒト細胞の不死化機構を明らかにする研究を遂行している。医学セミナーでは細胞不死化機構について私たちの研究成果も含め最近の知見を要約紹介する。本研究の進展により、がん細胞に老化プログラムを回復させ増殖を止めるという新しいがんの分子標的治療法につながる可能性があり、その一端についても触れたい。

 

世話人: 小児科学教室 浅野喜造(2367)

     微生物学教室 辻 孝雄(2432)