第142回 医学セミナー(特別講演52回)
題目: 「ヘルペスウイルスを利用したがん治療法の開発 - 米国での臨床試験に至るまで -」
演者: 名古屋大学 大学院 医学系研究科 分子総合医学専攻 微生物・免疫学講座 ウイルス学分野 教授
西山 幸廣 先生
日時: 平成21年11月20日(金)
午後5時15分〜6時45分
場所: 生涯教育研修センター 1号館 9階 901講義室
座長: 浅野 喜造 先生

 西山幸廣先生は、1973年、名古屋大学医学部卒業され、名古屋大学にて基礎ウイルス学の研究を開始されました。ペンシルバニア州立大学医学部微生物・癌研究部門、ワシントン大学医学部病理学部門を経て、1994年に、名古屋大学医学部附属病態制御研究施設ウイルス感染研究部門教授、2000年には現所属講座教授となられています。

 先生はヘルペスウイルス学基礎研究分野の世界的リーダーとして長年にわたり実績を積まれています。さらに最近では臨床に直結するウイルスを利用した難治性がんに対する新規治療法(Oncolytic Virotherapy)の研究開発において、顕著な腫瘍溶解性、免疫賦活化作用を有するoncolytic virus (OV) HF10を発見され、そのゲノム特性、生物学的性状を明らかにされています。

 さらに、名大病院において16名の患者(乳癌、頭頚部癌、膵臓癌)に対して臨床試験を行い、欧米で開発中のOVをしのぐ有効性、及び安全性を確認し注目されています。これらの臨床試験では、HF10が抗ウイルス抗体保有患者においても腫瘍内に2週間以上にわたり存続・増殖し、腫瘍細胞を死滅させていることが明らかにされています。既にHF10のGMP製剤の製造にも成功し、米国FDAからの承認も得られ、現在、ピッツバーグ大学、オレゴン州立大学において頭頸部癌に対するPhase I臨床試験が実施中されています。

 長年にわたる研究業績に対し2006年には小島三郎記念文化賞、持田記念学術賞を受賞されています。難治性の癌治療に夢のある、新しい、期待の持てる道が開けてきたようです。

 多くの教職員、学生さんの参加を歓迎いたします。

世話人・連絡先
小児科学教室 浅野 喜造(2367)
微生物学教室 辻 孝雄(2432)