第150回 医学セミナー(特別講演58回)
題目: 「血管収縮制御の分子機構とその異常」
演者: 三重大学 大学院 医学系研究科 病態制御医学講座 循環器・腎臓内科学 循環器内科 教授
伊藤 正明 先生
日時: 平成22年7月7日(水)
17時15分〜18時45分
場所: 生涯教育研修センター 1号館 9階 901講義室
座長: 尾崎 行男 先生

 伊藤正明教授は1979年に三重大学医学部を卒業され、三重大学第一内科入局、1987年には米国アリゾナ大学留学を経て、三重大学第一内科助手、講師、1997年より文部省長期在外研究員として米国Brigham and Women’s Hospitalで研究を続けられ、2006年より三重大学大学院医学系研究科(循環器・腎臓内科学)教授に着任されています。

 Ca2+は筋肉の収縮弛緩における重要なシグナル伝達物質であるが、血管平滑筋では収縮のCa2+感受性が著しく変動する特徴的な現象がみられる。血管のトーヌスはミオシンのリン酸化レベルによって制御されているが、リン酸化反応はCa2+依存性酵素が触媒するのに対し、脱リン酸化反応はCa2+非依存性の酵素(ミオシンホスファターゼ)によって触媒される。ミオシンホスファターゼ活性が抑制されると、ミオシンリン酸化レベルは上昇し、血管トーヌスは亢進する(Ca2+感受性亢進)が、その活性が亢進するとミオシンリン酸化レベルは低下して血管は弛緩する(Ca2+感受性低下)。以上のように、収縮のCa2+感受性はミオシンホスファターゼの活性制御が関与しており、ミオシンホスファターゼ活性を抑制してCa2+感受性亢進に働く中心的シグナルはRho/Rhoキナーゼであることが明らかになりました。

 高血圧、肺高血圧や血管攣縮などの血管トーヌス亢進において、Rhoキナーゼなどの血管収縮のCa2+感受性亢進が関与していることが明らかにされてきている。また、ミオシンリン酸化は心筋においても収縮のCa2+感受性シグナルとして機能し、ミオシンリン酸化レベルは心機能維持においても重要であることも判明してきました。これらに関して、これまで先生が行われてきた研究をもとに概説していただきます。

 今回は、血管トーヌスの制御機構、高血圧・肺高血圧、冠動脈硬化のリスク因子、心不全の循環病態など、多岐にわたって分かりやすく面白いお話しが聞けることと思います。

 多くの教職員、学生さんの参加を歓迎いたします。

世話人・連絡先
微生物学教室 辻 孝雄(2432)
小児科学教室 吉川 哲史(9035)