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講座情報
所属組織: 藤田保健衛生大学 (Fujita Health University School of Medicine)
講座名: 公衆衛生学
NAME: Department of Public Health
電子メールアドレス: deppub[at]fujita-hu.ac.jp
ホームページ: http://www.fujita-hu.ac.jp/~deppub/

講座スタッフ
教授八谷 寛
講師飯田 忠行
講師大田 充彦
助教間瀬 純治

概要
公衆衛生学とは、病気の予防や社会全体の健康水準の向上に着目した研究と活動です。その研究課題は社会と時代の要請にしたがい変化しますが、集団全体の健康状況に注目し、法律や制度、環境整備などの方法によって対策を行うという考えは不変です。現在、「主な研究課題」のページにあげたような課題に、当教室では取り組んでいます。これらの研究課題にともに取り組む研究意欲のある大学院生を募集しています。

また、本学の教育目標である「リサーチマインド豊かな良き医療者の育成」を実現するための衛生学・公衆衛生学教育を、衛生学教室と協力して実践しています。公衆衛生学では、医師として患者さんやそのご家族の生活を支援していく上で重要な社会的制度や考え方を体系的に扱います。病気に関する知識だけではなく、病気や苦しみを持つ人の生活する家庭や社会に目を向け、それらの社会的な側面を十分に理解できる医師の育成に努めたいと考えています。

生活習慣病・心血管疾患発症予防に関する疫学研究
生活習慣病・心血管疾患発症予防に関する疫学研究

勤労者を対象としたコホート研究に参画し、予防活動を実践しています。また、いくつかの国内、国際共同研究に関わっています。
JALS研究
・JPHC研究[http://epi.ncc.go.jp/jphc/]
・JACC研究[http://publichealth.med.hokudai.ac.jp/jacc/]
・ARIC研究[http://152.2.65.10/aric/]
・CKD-PC[http://www.jhsph.edu/research/centers-and-institutes/chronic-kidney-disease-prognosis-consortium/index.html]
・Look AHEAD研究[https://www.lookaheadtrial.org/public/home.cfm]
代表的な研究は、愛知県内のある職域(公務員)を対象に、平成9 年から実施しているコホート研究です(主任研究機関:名古屋大学大学院医学系研究科国際保健医療学・公衆衛生学)。具体的には、まだ疾病を発症していない健康な人たちを対象に、生活習慣や検査成績などを研究の開始時に調べます。そして、その後の疾病発症状況を長期間にわたって調べ、調査開始時のどのような特徴が、疾病の発症と関係したのかを統計学的な手法を用いて検討しています。
Website:http://koei-nagoya.blogspot.jp/

作業関連性運動器障害に関する研究
腰背痛症、頸肩腕障害、上肢・手指障害などの作業関連性運動器障害は、本研究室が取り組む主要な研究課題の一つです。介護作業、調理作業などを対象に、調査による健康障害の実態の究明や関連要因の解明、職場要因の実験的分析、予防対策の提案等、現場に対応した研究に取り組んでいます。

「保育・福祉勤労者における体力指標と骨密度との関連― 前腕骨骨密度を中心として―」飯田忠行他『総合保健体育科学』2012;35:17-21(PDF)[http://www.htc.nagoya-u.ac.jp/No35-1.pdf]

産業疲労・産業ストレス要因に関する研究
深夜の労働や生活が広がりつつある今日、生体リズムの乱れや長時間労働と関係する産業疲労、ストレスへの対処が重要な課題となっており、多様な職場における労働と睡眠の実態調査や対策検討等を行っています。

職場のメンタルヘルスに関する研究
職場におけるメンタルヘルスの実態の調査研究や自殺の疫学的検討などを行っています。

 職場における心理社会的ストレスが生活習慣(睡眠、喫煙)に及ぼす影響に関する調査研究を行っており、その実態から行うべき対策プログラムの立案にむけ、検討しています。

Ota A, et al. Psychosocial job characteristics and insomnia: a prospective cohort study using the Demand-Control-Support (DCS) and Effort-Reward Imbalance (ERI) job stress models. Sleep Med. 2009; 10: 1112-7[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19464233]
Ota A, et al.Psychosocial job characteristics and smoking cessation: A prospective cohort study using the Demand-Control-Support and Effort-Reward Imbalance job stress models. Nicotine Tobacco Res. 2010; 12(3): 287-93[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20083647]

健康関連尺度の開発に関する研究
海外で一般的に使用されている慢性疼痛尺度や、ストレス尺度(Demand-Control-Support Questionnaire)などの日本語版を開発し、その信頼性と妥当性を検討しています。
 間瀬を中心として、日本語版 Demand-Control-Support Questionnaire(DCSQ)の信頼性と妥当性の研究に取り組み、データ解析および論文化を進めました。
DCSQはKarasekらが提唱する社会心理的ストレス要因のDemand-Control-Support (DCS) Modelを応用した3下位尺度Psychological Demands、Decision Latitude (Control) 、Social Support、17項目から構成される尺度で、下位尺度内の点数が高いほど、各要因の度合が大きいことを示しています。DCS Modelにより評価される心理社会的要因は、筋骨格系障害(Aldrling, 2006)および不安やうつ症状(Aasa, 2005)との関連が指摘されているため、簡便に使用可能な上記尺度の信頼性と妥当性の関する研究を行いました。

Mase J, Ota A, Inoue K, Iida T, Tsutsumi A and Ono Y. Reliability and Validity of the Japanese-translated Version of the Swedish Demand-Control-Support Questionnaire. Ind Health 2012;50:467-75.[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23047080]

認知症の早期発見に関する研究やその他の公衆衛生学的諸課題に関する研究
認知症(アルツハイマー型、パーキンソン病・症候群)の早期発見のために主に脳内バイオマーカー測定による方法が研究されていますが、装置が高額で、非常に侵襲的といった問題点があります。そこで、簡便で非侵襲的かつ安価な方法で、認知症の発症初期をとらえる装置の開発を行っています。
 また、その他の公衆衛生学的諸課題として骨密度・骨代謝の疫学、医系学生の保健・体力等にも取り組みつつあります。

Iida T, et al. Factors Predicting Bone Mineral Density (BMD) Changes in Young Women over A One-year Study:Changes in Body Weight and Bone Metabolic Markers during the Menstrual Cycle and Their Effects on BMD. Acta Med Okayama 2012;66:307-315.[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22918203]
Iida T, et al. Longitudinal study on physical fitness parameters influencing bone mineral density reduction in middle-aged and elderly women: bone mineral density in the lumbar spine, femoral neck, and femur. Hiroshima J. Med. Sci. 2012; 61: 23-2.[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22916509]

医学教育について
公衆衛生学は衛生学と連携して教育を行っています。
 3年生を対象とする公衆衛生学は、人々の生涯の健康を社会的な制度・しくみとの関わりでとらえることを課題として、前半の講義では、地域保健・医療のしくみ、保健・医療・福祉に関わる人材、社会保障制度や医療経済など、人々の健康を守るための制度・しくみ・現況を概括的に教えます。後半の講義では、母子保健、学校保健、産業保健、精神保健福祉、高齢者保健福祉など、人間の生涯の各時期に特有な健康問題と健康保護施策・制度の要点を教えます。
 実習では学生が講義内容をさらに実践的に深く理解することを目標としています。これらの取り組みを通じて、人々の健康保持・増進システムに関する学生の認識の醸成と、将来の医師としての社会的実践に向けた基盤の形成を目指します。

以下の6点を学習目標に掲げて取り組んでいます。
1.公衆衛生学的な諸制度・しくみについて理解する。
2.人間の生涯における特徴的な健康問題と健康保護施策・制度の要点について理解する。
3.国民医療費について理解する。
4.職業病・作業関連疾患・高齢者保健についての診断技術を学ぶ。
5.公衆衛生学的政策・対策に関する課題の探索と発表についての技術を学ぶ。
6.これらの科学と技術を基礎として、健康問題に対する公衆衛生学の実践的方策を学ぶ。

大学院進学を希望される方へ
公衆衛生学の研究に興味があり、研究意欲のある大学院生を募集しています。
詳細はお尋ねください。

平成26年度学生募集 出願期間(詳細は事務部大学院入試係、電話:0562-93-2898、Fax:0562-93-4593まで)

前期 平成25年 9月頃
後期 平成26年 2月頃

<概要>
公衆衛生学では、集団における健康阻害要因を明らかにし、制度の変更や環境整備などの方法によって対策を行うことを考えます。どのような健康上の問題、あるいは要因に注目して研究するかは、本人の興味、当該研究領域の動向を踏まえディスカッションして決定します。検討の方法や、結果については、ディスカッションを重ね、学術雑誌に論文として投稿できるようまとめます。
 また、教室内で定期的に研究会を開催し、研究報告を行います。そのほか、抄読会等も行っています。さらに、衛生学講座と協力して学生教育や合同の講演会等も実施しています。

<研究指導の方針
どのような要因に注目して検討を始めるかは、本人の興味、当該研究領域の動向を踏まえディスカッションして決定します。多くの場合、検討は生物統計学(biostatistics)の知識の取得や、運用能力の向上と並行して進むことになります。一連の検討が終了する頃には、SPSS やSAS などの統計ソフトをある程度使いこなせるようになっていると思います。検討結果については、適宜ディスカッションを重ね、学術雑誌に論文として投稿できるようまとめます。投稿はほとんどの場合、英語によります。論文の執筆にあたっては、過去の研究成果を検索する力、それらを多くの時間をかけずに読みこなす力、自分自身の検討結果を過去の研究成果に積み重ねて評価できる力、そして文章力の鍛錬が必要になります。課されたタスクを決められた時間内に達成する力も極めて重要です。また、学会発表等を通して、関連分野の研究者と友好を深めることになります。

<募集要項等>
藤田保健衛生大学HP内にある、医学研究科のページをご覧ください。
http://www.fujita-hu.ac.jp/school/g_medicine.html

Tue May 7 17:22:57 JST 2013

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