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講座情報
所属組織: 藤田保健衛生大学 (Fujita Health University School of Medicine)
講座名: 救命救急医学講座
NAME: Dept of Emergency and Acute Intensive Care Medicine

講座スタッフ
教授武山直志
准教授服部友紀
准教授加納秀記
講師宮部浩道
助教富野敦稔
助教波柴尉充
助手安藤雅規
助手後長孝佳
研究助手Huq MA
研究助手大橋 薫

教育方針
重症度にかかわらず全ての急性期疾患に対する初期診療を臨機応変に行うことのできる総合力と重症救急症例の病態解析、集中治療が行える専門力を兼ね備えた質の高い救急医の育成を目的とします。具体的には多発外傷、急性腹症、呼吸不全などの三次救急患者の初療から集中治療に至る診療技術の習得のみならず、発熱、腹痛、頭痛などの一•二次救急患者の初療、軽症症例に潜む、見逃してはならない症例の識別能力の獲得を目指します。初期臨床研修後、最初の1年から1年半はER、救急ICU、GICUで救急、集中治療に関する臨床研修を行うとともに、メディカルコントロールをはじめとした救急医療行政に参加します。ACLS、ICLS等のプロバイダー資格を修得し各種講習会で指導が出来ることを目指します。次の1年半から2年間はサブスペシャルティ技能習得のため学内の外科系、内科系の専門科にて1年半から2年間の研修を行います。大学院に入学して侵襲学を中心とした高度な基礎研究、臨床研究を希望する場合は卒後4年目(後期研修開始2年目以降)から大学院に入学可能です。社会人大学院制度を利用すれば入学後も臨床兼任は可能です。サブスペシャルティ技能習得後(卒後6年目以降)は救急専従医としてさらなる臨床経験を積み日本救急医学会専門医、集中治療専門医を取得すると共に、大学人として必要な臨床研究を遂行する能力を養います。大学院に入学していない場合もこの期間に論文博士として学位が取得できます。原則として日本救急医学会専門医、集中治療専門医、学位は全員に取得してもらうようきめの細かい指導を行います。

研究内容

1 ポリミキシンB固定化カラムによる直接血液潅流法の免疫応答に及ぼす影響:単球除去作用とリンパ球機能との関連について
ポリミキシンB固定化カラム(PMX)はエンドトキン除去作用と共に活性化好中球、活性化単球と親和性が高いため直接血液潅流法により、活性化された免疫担当細胞を除去することが可能である。活性化好中球が病態に関与している急性呼吸窮迫症候群などの治療にPMXが効果を発揮する可能性を示唆する(Kumagai T, Takeyama N, et al. Shock 2010; 34: 461-6).

2 敗血症性ショックに対するエンドトキシン吸着療法(PMX)…施行開始時期と治療効果…(多施設臨床研究)
PMXによるエンドトキシン吸着は下部消化管穿孔をはじめとしたグラム陰性桿菌感染症に有効である。しかしながらその開始時期を検討した報告はなかった。本検討では早期にPMX療法を行った敗血症性ショック患者と、PMX開始まで時間を要した症例の2群にわけ生存率などを検討している(Takeyama N, Noguchi H, Hirakawa A, Kano H, et al. Blood Purification 2012; 33:252-6).

3 侵襲下における末梢血リンパ球細胞死の動態:bcl- 2発現とhumoral mediatorとの関連について
熱傷、多発外傷、敗血症などの高度侵襲状態における末梢血リンパ球細胞死の動態をアポトーシス関連遺伝子であるbcl- 2発現を観察することにより検討中である。

4 急性肺障害(ALI)/ARDS発症におけるangiotensin2の関与:アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬およびAT1受容体遮断薬による治療効果
angiotensin2過剰がALI/ARDS発症の一要因になっているとする最近の報告に従い、ACE阻害薬およびAT1受容体遮断薬投与がALI/ARDS病態になんらかの改善効果を与えるか否かを検討する。

5 急性肺障害における血管内皮前駆細胞の動態解析:自家移植による再生治療の試み
敗血症時における血管内皮前駆細胞(endothelial progenitor cells: EPCs)の動態を明らかにするために末梢血中におけるEPCsの測定を行っている。Rafatら(Crit Care Med 2007)の結果と同様に、敗血症時にその動員が増加すること、ならびにその動員が多いほど予後の良いことを認めている。すなわちEPCsは生体修復作用を敗血症時に発揮していると推察している。

6 熱傷と免疫異常:焼痂由来物質alarmin (DAMPs)の関与
熱傷時には自己細胞壊死により細胞構成成分であるアデノシン、HMGB1、DNAの漏出をきたし本来細胞外では認められないこれらalarmin (DAMPs)の作用により炎症反応が惹起される。これら物質の制御により炎症コントロールが可能になるためその動態を詳細に検討中である。

7 熱傷ストレス下における免疫異常と樹状細胞機能:CpGモチーフによる免疫調節
熱傷受傷ラットにおける免疫能を脾細胞にて経時的に検討したところ、MHC class II発現および炎症性サイトカイン産生能の低下を認めたことよりimmunoparalysisに陥っていることが明らかになった。免疫賦活作用を有するCpG oligonucleotidesを前投与したところこれらの異常が改善した。以上よりCpG oligonucleotidesは熱傷後免疫抑制の治療薬になりうる可能性が明らかになった(Yabuki T, Takeyama N, et al. J Surg Res 2010; 161: 111-8)

8 敗血症性多臓器不全に対する間葉系幹細胞移植療法とthymosin ベータ4の応用

9 ヘムオキシゲナーゼ1による生体保護作用:バイオマーカーとしての呼気一酸化炭素
敗血症患者の血中CO濃度、単球中ヘムオキシゲナーゼI (HO-1)、血中酸化ストレス度、炎症性サイトカインの関連を検討したところHO-I蛋白発現と血中CO濃度間、HO-I蛋白発現と酸化ストレス間に正の相関が認められた。HO-Iの上昇しない敗血症患者は予後が悪いことも今回の検討から明らかになっており、HO-I―CO系は生体防御系として重要な役割を果たしている可能性が示唆された(Takaki S, Takeyama N et al. Intensive Care Med 2010; 36: 42-8)

10 高度侵襲下におけるneutrophil extracellular traps (NETs)の動態
好中球は異物を貪食処理するだけでなく、細胞外に細胞内成分を放出することにより殺菌作用を発揮している(NETs)。NETsは病原体を処理殺菌する生理的な役割を担っている反面、血管内皮細胞障害、血栓形成を助長することにより病理的な側面も有する。われわれは侵襲下においてNETsがいかなる影響を生体に及ぼしているかを検討中である。

11 高度侵襲下における血漿中circulating free-DNAの動的変化
circulating free-DNA (cf-DNA)が血漿中に存在しているもののその起源、意義は明らかでない。最近の報告によると、悪性腫瘍、重症外傷時の壊死細胞からの漏出、および好中球から能動的に放出されたDNAがcf-DNAに関与していると推察されている。特に好中球由来のcf-DNAは、neutrophil extracellular traps (NETs)と呼ばれる好中球の新抗菌作用そのものを反映している可能性がある。cf-DNAはDAMPsとして炎症担当細胞を活性化している可能性も示唆されている。我々は重症感染症時における血漿中cf-DNAとNETs、cf-DNAと血小板活性化の関連を明らかにするため敗血症ショック患者におけるcf-DNAを経時的に測定し検討を進めている。

Sat May 11 12:23:21 JST 2013

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