No.sp-9-1

血球系(赤血球、白血球の評価について)
厚生連高岡病院
柴田正信
尿沈渣検査法(JCCLS勧告法)では、赤血球が尿沈渣成分の中で最も重要な成分の一つであり、腎疾患や尿路疾患などで認められるとされています。そして、とくに変形した赤血球が多数みられる場合、腎疾患診断の貴重な情報となっているとあります。

しかし、このように尿中の赤血球形態の観察が、重要であるにもかかわらず、分類方法や判定基準がいまだ確立されておらず、各施設でばらばらの基準で行われているのが、現状だと思います。
まず、日臨技一般検査研究班の平成9年度全国規模でのアンケート結果のなかで、変形赤血球という言葉の解釈について、*糸球体性血尿が推定される形態:約53%  *形態的に正常以外の形態(糸球体性はその中の一部のもの):約38%となっており、変形赤血球という言葉が糸球体性血尿であると考えている施設が大多数を占めるまでにいたっていないことです。

次に、どのように分類していけばいいのでしょうか。学会の発表や研修会の講演を聞いていますと、いろいろな分類や、名称が報告されていますが、赤血球形態が多彩な形態を示す場合や、赤血球表面にコブ状に突起した形態を認められた場合、糸球体由来を疑うとされています。

また、変形赤血球の出現率を百分率であらわす場合は、判定基準が統一されていないため、様々な報告値が出ることになりますし、(+)と(−)で報告するにしても同様の問題があると思われます。
それから、尿定性の結果からは、pH、比重、細菌の影響による形態変化が起こることに注意しなければなりません。また、他の尿沈渣成分の出現を参考にする必要があり、とくに赤血球円柱が認められた場合は、糸球体由来を考えていいと思います。

このように、赤血球形態を評価していくうえでは、ある一定の基準がどうしても必要となってきていると思われます。
白血球については、腎・尿路系感染や炎症を示唆する重要な有形成分であるとされています。そして、円形、球状、円柱状、有尾状など、様々な形態を示しています。しかし、この形態を積極的に分類しようとしている施設は、少ないように思われます。そして、形態分類よりも、他の細胞成分との区別が必要な場合が多い様に思われます。

赤血球、白血球のいずれの場合にしても、臨床医に対して、検査室側がどのように考えて報告しているかを知ってもらい、共通の認識ができるように協議していくことが大切だと思います。

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