2016 藤田保健衛生大学医学部 第1学年
101/250

読書ゼミナール- 92 -3)林   孝 典 (生化学)前半9コマ「池上彰の18歳からの教養講座 ―現代世界を知るために」池上彰著日本経済新聞出版社 “昨年、本学でも特別講演して頂いた池上彰氏。近代世界史や経済学についても非常に造詣が深く、その解説力で非常にわかりやすく説明される事で有名です。これは聞き手・読み手が何を知りたいのか、何を分かっていないのかを的確に認識していることに由来しているのではないでしょうか? 池上彰氏は現代史、特に20世紀後半の世界の動向を知れば、近年のロシアのウクライナ介入や「イスラム国」(IS)の台頭、日本の安全保障などのさまざまなニュースの後ろに隠れている問題が見えてくると語っています。本書を通じて世界情勢を知るために必要な「教養」を身に付けるとともに、ただ本を読むのでなく医師となる者として大切な「人に説明する」という事柄にも重点を置きながら楽しく読み解いていきたいと思っています。”  飯 塚 成 志(臨床医学総論)後半9コマ「医学生」南木佳士著(文春文庫) “南木佳士氏は1951年生まれ。新設の秋田大学医学部を第2期生として卒業し、現在長野県の佐久総合病院に勤務する医師です。一方作家としても活躍しており、1989年には「ダイヤモンドダスト」で芥川賞を受賞しました。今回取り上げる小説は1993年刊行。秋田大学医学部第2期生4名が主人公で、医師を目指し卒業するまでの学生生活、そして15年後の彼らの姿が綴られています。純文学作家であった著者が「意識して大衆小説にした」というとおり、読みやすい本です。けっして誇張にすぎず、素直に学生たちの生活・心情が描かれています。医学部にはいったばかりのみなさんにはこれから自分自身の医学部生活、医師像を作っていく上で、うってつけの本ではないかと思います。 一方著者は、医師・芥川賞作家という輝かしいキャリアとは裏腹に、受賞後自ら大変苦しい迷路の中に迷い込んでいきます。何があったのか。どうやって「医学生」にたどり着いたのか。著者の生き方、考え方についても触れながら、読み進めていくことができればと思います。”

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 101

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です