2016 藤田保健衛生大学医学部 第1学年
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読書ゼミナール- 93 -4)金 子 葉 子(生理学Ⅰ)前半9コマ「戦国診察室」馬渕まり著 SPP出版 “本書は、刈谷豊田総合病院東分院の内科医である大川内幸代医師が、戦国時代の大名や武将について現代医学の視点から診察してまとめたものです。武田信玄や上杉謙信らの死因を当時の文献を手掛かりに分析し、また「激しい切腹は本当に可能か」と医師の立場で検討しています。 MRIやCTどころか心電図やレントゲン写真さえなかった時代、名医は患者が診察室に入ってくるなり、病名を言い当てたといいます。患者の顔色や表情、肌の色つや、声の調子や体型、歩き方などから診察する方法を、西洋医学では視診、漢方では望診といいます。 近年、病院の外来を訪れると、医者の視線は患者の様子よりも、机上のパソコン画面や検査結果に傾きがちです。確かに現代では病気も多様化し、検査無くして全ての病名を診断するのは不可能ですが、患者をじっくり観察して病態を推理する観察眼を持つことは、大切なことです。本書の著者は、文献を手掛かりに400年以上前の武将の病気や死因を推測しています。現役の内科医がどのような点に目を付けるのか、将来医師となる皆さんの参考になるかもしれません。 さらに、藤田保健衛生大学周辺は、織田信長が少数の軍勢で駿河の大名である今川義元を討ち取った、桶狭間の戦いがあった場所です。そのような場所でこれからの6年間を過ごすのですから、歴史好きな人もあまり歴史を勉強してこなかった人も、この本を歴史の裏話として楽しんで読みましょう。”  佐 藤   労(倫理学)後半9コマ「善と悪 倫理学への招待」大庭健著 岩波新書 “道徳的にみて「善い」「悪い」という判断には、客観的な根拠はあるのだろうか。「赤い」「青い」などの知覚的判断や、「酸性」「アルカリ性」などの科学的判断とはどう違うのだろうか。その基準となる「道徳的原理」は、どのようにありうるのだろうか。ソクラテス以来の大問題を、最新の分析哲学の手法を用いて根底から論じ、倫理学の基本を解き明かす書物です。目次を記します。 第一章 道徳的判断とは 第二章 「善し悪しは、その人しだい」とは?第三章 道徳判断の客観性  第四章 行為・人柄の評価と実践 第五章 美徳と悪徳 第六章 諸々の特性と善悪 第七章 道徳原理。”

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