2016 藤田保健衛生大学医学部 第1学年
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読書ゼミナール- 98 -  八 代 耕 児(化学)後半9コマ「山月記・李陵 他九篇」中島敦著 岩波文庫 “中島敦の「山月記」は高等学校の現代文の教科書でよく採り上げられており、その漢文調で格調高く、芸術的ともいえる文体は忘れられない人が多いと思います。ここでは、中島敦のもう一つの代表作であり、最高傑作ともいわれる「李陵」を読んでいきます。この作品も中国の古典を題材とした作品で、漢の武帝の時代、匈奴の大軍と戦って俘虜となり、やがて帰国の気を失う勇将・李陵の心理の動揺を、李陵を弁護したために宮刑に処される歴史家・司馬遷、囚われの身でありながら決して降服しない不屈の使節・蘇武の運命的な生き方と対比させながら描いています。格調高く小気味よい文章を楽しみながら、中島敦が描く人間観を考えてみたいと思います。なお、本書には表題作のほか、「名人伝」、「弟子」などの短編も収載されていますので、これらも併せて読んでいく予定です。”

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