2016 藤田保健衛生大学医学部 第1学年
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読書ゼミナール- 86 -6)石 嶺 久 子(解剖学Ⅱ)前半9コマ「「超常現象」を本気で科学する」 石川幹人著 新潮新書 “「超常現象」とはこれまでの科学的知見では説明のつかない諸現象を指す。医学部入学直後に、突然「超常現象」を検証するとは非常に風変わりに感じると思う。しかし、「超常現象」を検証し、真偽を結論付けることが目的ではない。検証するという作業が大切なのである。本書は、ある事象を正確に認識し、それに対し現在ではどこまでの知見があるかを調べ、検証し、理解するという科学的思考が如何に大切かを感じてもらえる本である。 科学的思考は「超常現象」のみならず、生活に密着したより身近な例を理解するためにも必要なスキルである。例えば、アメリカで使用規制があるトランスファット。体に悪いから規制されているならば日本ではどうして規制がされないのか?お肌にハリを持たせるためにコラーゲンを摂取することは有効か?など挙げたらきりがない。 幽霊の存在やテレパシーなど「超常現象」を例に挙げた本書を使って科学的思考による問題解決方法を身につけてほしいと考えている。”  前 野 芳 正(ウイルス・寄生虫学)後半9コマ「世界で一番いのちの短い国―シエラレオネの国境なき医師団」山本敏晴著小学館文庫 “平均寿命34歳(2002年)、日本のわずか半分以下。世界で最も医療事情が悪い国、西アフリカのシエラレオネ共和国。十年以上も内戦が続き、病院の建物は壊れ、医師や看護師も国外に逃げ出している状況です。この医療システムが崩壊した、世界で一番いのちの短い国に派遣された医師が、寝食を忘れ、力を尽くして、目の前のいのちを救っていく……。 この本では、国境なき医師団としてシエラレオネ共和国に派遣された、山本敏晴さんの半年間の活動の記録です。紛争地帯のど真ん中で、いのちを救うために尽力する日本の医師の姿が、勇気と感動を与えてくれる… というような本ですが、性欲の処理の仕方のような下世話な話もあってちょっぴり笑えたりもします。肩肘張らずにさらさらと読めるところが本書のいいところと思われます。”

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