2016 藤田保健衛生大学医学部 第1学年
99/250

読書ゼミナール- 90 -<月曜日2時限目>1)角 川 裕 造(生物学)前半9コマ「単純な脳、複雑な「私」」池谷裕二著 講談社ブルーバックス “あなたは人を好きになったときに、どうしてその人のことを好きになってしまったのか説明できますか?それは神様が与えてくれた運命的な出会いだったと、あなたは信じているかもしれません。でも本当の理由は、ただ単にその人のことを他の人よりもほんの少し長い時間見ていただけだとしたらどうでしょう。あるいは,あなたの脳で神経活動のゆらぎが大きくなっていたときに、たまたまその人に出会ったためかもしれないのです。でも私たちの脳は,もっと自分が納得できるような他の理由を見つけ出そうとします。そしてでっちあげたその理由を正当化するために、その人のことをますます好きになってしまうのです。 ふだん私たちが自分の自由な意志で物事を判断したり、選択したりしているつもりでいることも、実は無意識に行われている脳の働きに大きな影響を受けています。そしてそのことを私たち自身に気づかせないようにするしくみまで脳に備わっているのです。そんな不思議な脳の働きについて、高校生を相手に講義した内容をまとめたのがこの本です。著者の池谷裕二さんは、東大の薬学部で大脳生理学を研究している、新進気鋭の若手研究者です。読み進めていくと、目からウロコの話題が満載です。まずは「理解する」ということがどういうことなのか、を理解するところから始めましょう。”  近 藤 一 直(薬理学)後半9コマ「車輪の下」ヘルマン ヘッセ著 新潮文庫 “学年トップで入学したエリートがやがては脱落してしまう、という恐ろしい話。「他人事で良かった」と言って仕舞えばそれまでかも知れないが、「何故(なぜ)?」「何が?」と考えてみることも有意義なのではないか?歴史から消えることは無いであろう作品、つまりはドイツ文学における不朽の名作。”

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 99

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です