2016-17 藤田保健衛生大学医学部 第4・5学年
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3参加型臨床実習に向けて【大きな変革の中で】全国医学部長病院長会議は平成26年度から共用試験全国統一質保証システムの本格運用を開始し、各校独自の基準に加え共用試験での全国統一水準を満たした医学生にStudent Doctor認定証を発行することで、参加型臨床実習を本格的に推進することとなりました。本学では平成27年度よりこのシステムを導入し、皆さんが新制度の第二期生となります。医師養成改革は皆さんの6年間の学生生活やその後の卒後研修期間を通じて絶え間なく進められています。大きな流れとして平成16年から始まった初期臨床研修システムの見直しがあります。この研修制度導入から既に11年が経過し十分定着してきていますが、一方で真に基本的臨床能力の高い医師養成ができているか、医師の地域あるいは診療科間の偏在が深刻化している、また研究を志向する医師の減少など、課題についても明らかになってきました。平成30年度からはこれまでは各診療科の基幹学会が独自で行ってきた専門医養成について一般社団法人日本専門医機構が基幹19診療科の専門医育成を統括する方針が示されています。このマッチングは平成29年の7月頃から始まることとなっており、初期研修医は研修2年目早々にどの診療科のどのプログラムに進むか決めないといけなくなります。専門医機構の概要はこれからですが、この中で診療科・地域偏在の是正を目指すとしているので、将来何科の医師にどこでなるかをこれまでより早く決めなくてはなりません。またこれによって初期研修自体も大きな変革が必要になってきており、これについても議論が始まり、遅くとも平成31年度には新しい初期研修制度になる予定です。卒前教育もこうした社会から求められる医師養成に対応すべく、すなわち医学生の研修においても一定レベルの基本的臨床技能の習得が不可欠となり、これまでは初期研修医レベルであったものを卒前に前倒して参加型臨床実習を充実するという流れになっています。【診療に参加するとは】本学は良き臨床医育成を教育の主眼として伝統的に臨床実習教育に力点をおいてきた訳ですが、こうした情勢の変化に対応するべくいち早く参加型臨床実習の実現に努力してきました。言うまでもなく臨床に参加するということは患者さんの命と健康に責任ある形で参加する事であり、これまでの見学型とは大きな違いがあります。患者さんの治療に関わることで医学の本質を血肉とする学習が当然要求されるわけですが、これと同時に、治療の責任についても皆さんが負うことになります。現代の医療は一人の医師が完結して行えるものではなく、医療施設(病院や診療所)において様々な専門職種によるチーム作業として成り立っています。皆さんはまずはこのチームの一員となるべく積極的・能動的に参加することが求められています。これまでのように講義室・実習室にくれば講義や実験が準備されているのではなく、臨床の場に参加し、チームに参加することで初めて皆さんの実習が実りあるものとなります。つまりよりよい実習となるか否かは皆さんの参加する態度・姿勢次第ということです。医療現場において何よりも大事なのは患者さんの命と健康です。そのために全てのスタッフは全力で努力しています。皆さんにはまずこうした崇高な目標をもちプロフェッショナルとして誇りをもって活動しているチームの一員に自ら積極的に入るという意気をもっていただくことをお願いします。その上で一人一人の患者さんから多くのことを学んでいただきたいと思います。【あたりまえのことをあたりまえに】医療現場にはあたりまえのことをあたりまえにするという原則があります。様々な危機管理については座学で学んだとは思いますが、臨床に出るとそれは毎日毎時毎分毎秒持続して行わなければならないことです。挨拶をする、身だしなみを整える、時間に遅れない、これらもあたりまえのことです。どんなに知識があり、技量があり、優れた人柄の医師であっても決められた時に決められた場所にいなければ、何の役にも立たないどころか、いるはずの医師がいなければ救えるはずの命が救えないこともあり得ます。本学の医学生として誇りをもってこれらのあたりまえのことをあたりまえにやりぬけるよう臨床研修に臨んでいただくことを求めると同時に、皆さんが理想とする医師へ向かって大事な一歩を踏み出していく事を心から応援しています。医学部長

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