2015 - 藤田保健衛生大学医学部 第1学年
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読書ゼミナール- 82 -2)森 山 陽 介(解剖学Ⅱ)前半9コマ「生命科学の未解決問題―東大オープンキャンパス発」石浦章一監修西村書店 “東大が定期的に行っている高校生を対象にしたオープンキャンパスを基にした本である。生命科学分野の「未解決問題」について専門家が背景をわかりやすくまとめたうえで現在の取り組みを紹介してある。進化、DNA、遺伝、植物、巻き貝の形態、動物の社会性、肥満、性格と遺伝などの話題が9章にわたって展開してある。ゼミでは1章ずつ読んで内容をまとめて発表してもらい、さらに疑問点について議論をする形式で行う。”  前 野 芳 正(ウイルス・寄生虫学)後半9コマ「大発見の思考法 -iPS細胞 vs 素粒子-」山中伸弥、益川敏英共著文春新書 “言わずと知れたノーベル賞を受賞された山中教授と益川教授との対談集。医学者と物理学者が今まで歩んできた研究人生について、それぞれの生き方までに触れる大変有益な対談です。お二人の求める所は科学の目的である「真実」ですが、それぞれの方向性には二人の微妙な違いが大変興味深いところです。そこには生命科学者である山中氏と理論物理学者である益川氏の研究フィールドの違いです。山中氏は実験と思考が必須の生命科学であり臨床応用を踏まえたスタンスであり、一方、益川氏は、物理学や数学を駆使した頭の中での思考に多くの時間を割く姿勢です。益川氏と山中氏の年齢差も本対談をよりいっそう魅力的にしている要素と思われます。山中氏のお話、特にこれまで様々な試行錯誤を繰り返しながら研究者の道を進められてきたこと、多くの進路が偶然によるものであること、大学院への入試がうまくいかなかったが、勉強よりも「熱意」が評価されて合格したことなど、「天才」科学者を身近に感じさせてくれます。大成する研究者としてのノウハウも惜しむことなく開示してくれ、この対談にちりばめられたヒントは、若い学生たちの指標となると思われます。”

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