2015 - 藤田保健衛生大学医学部 第1学年
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読書ゼミナール- 91 -3)角 川 裕 造(生物学)前半9コマ「単純な脳、複雑な「私」」池谷裕二著 講談社ブルーバックス “あなたは人を好きになったときに、どうしてその人のことを好きになってしまったのか説明できますか? それは神様が与えてくれた運命的な出会いだったと、あなたは信じているかもしれません。でも本当の理由は、ただ単にその人のことを他の人よりもほんの少し長い時間見ていただけだとしたらどうでしょう。あるいは,あなたの脳で神経活動のゆらぎが大きくなっていたときに、たまたまその人に出会ったためかもしれないのです。でも私たちの脳は,もっと自分が納得できるような他の理由を見つけ出そうとします。そしてでっちあげたその理由を正当化するために、その人のことをますます好きになってしまうのです。 ふだん私たちが自分の自由な意志で物事を判断したり、選択したりしているつもりでいることも、実は無意識に行われている脳の働きに大きな影響を受けています。そしてそのことを私たち自身に気づかせないようにするしくみまで脳に備わっているのです。そんな不思議な脳の働きについて、高校生を相手に講義した内容をまとめたのがこの本です。著者の池谷裕二さんは、東大の薬学部で大脳生理学を研究している、新進気鋭の若手研究者です。読み進めていくと、目からウロコの話題が満載です。まずは「理解する」ということがどういうことなのか、を理解するところから始めましょう。”  鈴 木 茂 孝(コンピュータ情報処理学)後半9コマ「迷惑な進化-病気の遺伝子はどこから来たのか」Sharan Moalem and Jonathan Moalem1著、矢野真知子訳 NHK出版 “病気に至る原因は、先天的なものから、後天的なものまで様々ですが、この本は、後者について、「なぜ人間はヘモクロマトーシスや糖尿病になる遺伝子を持っているのか」、「水生類人猿説」、「ウイルスと人間の関係」、「癌の発生」、「人と病原体のせめぎ合い」、「寿命」などを題材として語られています。読んでいるうちに、物語に引き込まれながらもツッコミどころも多々見つかると思いますが、そこがまた面白いのです。医学的な基礎知識が無くても、とても気楽に面白く読み進めることができます。きっと 皆さんも負担なく読んでいただけると思います。皆さんの体にも引き継がれている遺伝子の何億年にも渡る道程や記憶に思いを馳せてみましょう。 皆さんとディスカッションし、調べ、学内のeラーニングサイトを使って知識の共有をしていきます。先輩方の残してくれた資料も参考にしながら、あなた方が更に知識を補完して後輩へ引き継いでいきましょう。”

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