精神科治療学(1)精神療法 030528岩田
基本的心的機制(心理学、異常心理学(精神病理学))
葛藤モデル
1)欲求とその欲求に対する防衛
2)違った目的・優先度をもつ異なった精神内界「部分」
3)外の現実的要求が内的に意識化されているが、それに反する強い欲求
欠損モデル
考える方法→無意識での葛藤、精神内界の構造、内的対象関係を含む患者と治療者双方についてー診断と治療のアプローチ
違っているところ=類似しているところ
心の概念モデルー無意識→局所モデル(エス・イド・スーパーエゴ)
心的決定論
転移
逆転移
抵抗
内的世界・外界、自己と対象、部分と全体
もの思い(自己対象機能)と自己破壊衝動(本能)
分離不安と見捨てられ抑うつ
抑圧(コンタクトバリア)
分割(スプリティング)—防衛機制としての
取り入れ・投影→取り入れ同一化・投影同一化(視)
その他(躁的防衛、否認、分離、逆転、置き換え、抑圧、知性化、理想化、反動形成、退行)
精神療法の技法
こころ(精神ー脳の高次機能も含めて)に対する専門的技術を駆使した非常に実践的な手技
1.
精神分析と精神分析的精神療法
いわゆる神経症、分裂病は基本的には禁忌
精神分析的精神療法の技法としては一般的には支持的なもの
2.
短期精神療法と危機介入
短期精神療法の技法は無数にあり適応も様々(細かい内容は不要)
危機介入とは必ずしも精神障害があるときとは限らない
3.
集団精神療法
適応は広い
4.
家族療法と夫婦療法
5.
バイオフィードバック
6.
行動療法
広場恐怖、アルコール依存、摂食障害、分裂病、強迫性障害等
7.
催眠
アルコール乱用、ニコチン依存、疼痛性障害、解離性障害、転換性障害
禁忌→妄想、強迫、依存傾向のある患者
8.
認知療法
うつ病の治療への有効性が検証されてきた
認知モデルと定式化した治療技法
多くの疾患への応用が可能
精神分析的精神療法の実際
T.精神療法的態度について
・精神医学の特徴→主体と対象、外的世界と内面、関係
観測、測定、説明
共感、了解、関与
・精神療法家の基本姿勢→上記の特徴をとりわけ意識的に担う
→具体的技法
・傾聴(受容)→ 治療者の自己主張の断念
治療者の個人的、人格的影響を極小に
他方、治療過程そのものが治療者自身の人間性の開示になる
U.精神療法的面接
理想的患者の役割
・依頼者になる
・治療構造を守る
・心の内を包み隠さず、言葉で表現する
・治療者の介入を受け入れ自己の言動の意味を理解できるようになる
・依頼者でなくなるよう努める
理想的治療者の役割
・依頼者に答える専門家である
・治療構造を設定する
・傾聴し理解する
・理解したところを患者に言葉で伝達する
・治療という共同作業の中で自分の分担を少なくするよう努める
精神分析的精神療法とは、患者が理想的役割を守らないところ、守れないところに着目し(治療的距離を吟味し)、何故守らない(守れない)かの探究に患者を誘い、患者を理想的役割に近づけるようとする努力を繰り返すこと
・面接の成立
職業的・専門的役割関係であること
受診理由、何故今、受診経緯、今までの治療に対する評価、患者自身の今での対応とそれへの評価、治療への期待
治療者による患者の問題の再構成
→患者の受診理由に出発しながら、それが生じてきた背景の心理を把握する
提供しうる治療方法についての説明
見通しについて
・治療構造
・「今、ここで(あなたと私の間で)」
・治療仮説を立てる(解釈)—精神療法は一種のアート
不思議に思う
→患者にも自分のことを「ここがわからない、どうも不思議だ、もっとわかりたい」と思ってもらうこと(気付き、洞察に導く)
・共感、達成の評価→言葉を磨いておく
・患者に仕事をしてもらう
・治療者自身の感情を吟味する
V.薬物療法との関係について
W.家族との関わり
参考文献
Kaplan & Sadock: Synopsis of Psychiatry
Gabbard, GO: Psychodynamic Psychiatry in Clinical
Practice
フロイト、S:「フロイト著作集」人文書院
クライン、M:「メラニー・クライン著作集」誠信書房
ビオン、W:「思考についての理論」(メラニー・クライントゥデイ)岩崎学術出版
土居健郎:「方法としての面接ー臨床家のためにー(新訂)」医学書院
成田善弘:「精神療法の第一歩」診療新社
成田善弘(編著):「精神療法の実際」新興医学出版社
精神分析と精神分析的精神療法
短期精神療法と危機介入
集団精神療法
家族療法と夫婦療法
バイオフィードバック
行動療法
催眠
認知療法