第58回日本リハビリテーション医学会中部・東海地方会学術集会
ならびに専門医・認定臨床医生涯教育研修会
日 時
2026 年1月31日(土)
会 場
名古屋市立大学病院 中央診療棟3階
大ホール
名古屋市瑞穂区瑞穂町川澄1
日本リハビリテーション医学会中部・東海地方会
事務局:藤田医科大学医学部リハビリテーション医学講座内
学術集会
一般演題 9:30 - 11:40
座長 岩砂病院・岩砂マタニティ 森 憲司
1. 左右差を伴う不全対麻痺に対し片脚型歩行練習支援ロボットを使用して歩行再建を
行った1例
藤田医科大学医学部リハビリテーション医学講座
吉田日菜,水野志保,小野佳希,太田智史,平野 哲,大高洋平
胸椎黄色靱帯骨化症による左右差を伴う不全対麻痺を呈した76歳女性に対し,遠位筋中心の麻痺側に短下肢装具,近位筋中心の麻痺側に歩行練習支援ロボットを使用し歩行練習を開始した.4週間後,ロボット側近位筋麻痺回復も見られたため,両側短下肢装具での平地歩行練習へと移行した.最終的には両側短下肢装具とT字杖で歩行が可能となった.筋出力に左右差を伴う対麻痺症例に片脚型の歩行練習支援ロボットを応用することで,訓練開始当初から歩行練習が可能となり,歩行再獲得に有用であった.
2.移動式HFNC導入により早期歩行訓練が可能となった気腫合併肺線維症の一例
岐阜市民病院リハビリテーション科
佐々木裕介
81歳男性.気腫合併肺線維症の通院治療中に肺高血圧症と右心不全が悪化し,呼吸不全で入院.第1病日より高流量鼻カニューラ(HFNC)と強心薬を開始し,第2病日から運動療法,第5病日から移動式HFNCで歩行訓練を実施.最終的にリザーバー付き鼻カニューラへ移行し第31病日に退院.急性増悪早期からの移動式HFNC活用により,安全で効果的な離床・運動が可能となった.
3.下肢切断術後の義足作製を伴わないリハビリテーション訓練・診療の検討
1尾張温泉かにえ病院
2名古屋大学医学部附属病院リハビリテーション科
1真野頌子,1坂野慎士,2西田佳弘
下肢切断術後に義足非適応と判断され,当院でリハビリテーション訓練を行った症例はこの1年間で4例であった.そのうち一例は,当院での入院加療ののちに義足導入に至った.義足作製を前提とした発表は多い一方で,高齢・認知機能低下・全身状態などを理由に義足非適応となる切断症例に対する訓練や診療に関する報告・検討は少ない.当院で経験した,義足を作製しない下肢切断症例の経過を後方視的に検討・報告する.
4.ポストポリオ症候群の歩行障害が補高靴とリハビリテーション治療によって改善した一例
1信州大学医学部附属病院リハビリテーション科
2昭和伊南総合病院リハビリテーション科
1成本 悠,2山口浩史,1池上章太,1堀内博志
[初めに]ポストポリオ症候群患者に補高靴を処方しADL,QOLが改善したので報告する.[症例]44歳で右股関節痛,73歳で右下肢の痺れが出現.74歳で歩行不能となり屋外は車椅子,屋内はキャスター付き椅子で移動.初診時,5cmの脚長差を認めた.画像検査で右変形性股関節症,L2レベルの腰部脊柱管狭窄症.外来リハビリテーション開始24日後に補高靴を処方し歩行可能となった.自宅での運動法を観察し,フォームや回数を指導.現在は趣味活動も可能. [考察]適切な運動を指導し患者の満足度も高かった.[結果]ポストポリオ症候群患者の老年期の身体機能,生活に介入し効果的であった.
座長 聖隷三方原病院 片桐 伯真
5.当院における臨床倫理カンファレンスと倫理的対応が有効だった一例
1浜松市リハビリテーション病院リハビリテーション科
2浜松市リハビリテーション病院リハビリテーション部
1川上隆太郎,2廣野 新,2上杉 治,2岡本圭史,1重松 孝,1藤島一郎
臨床現場では,処置やケアの選択をめぐって倫理的ジレンマが生じることが少なくない. とりわけ回復期リハビリテーションでは,障害受容の過程で患者・家族・医療者が倫理的葛藤に直面しやすい. 当院では臨床倫理コンサルテーションチームを中心に多職種で問題を分析し,各々の価値観を尊重しながら解決策を模索している. 本発表では臨床倫理カンファレンスと倫理的対応が有効であった一例を報告する.
6.感染症入院患者における下腿周囲長と退院時の食形態や日常生活活動(Activities of Daily Living:ADL)との関係
松阪中央総合病院
松尾 宏
【目的】筋肉量の簡易評価方法の一つである下腿周囲長が感染症入院患者の退院時食形態やADLに対する関係を検討した.【方法】2024年7月から12月にリハビリテーションを実施した入院患者132人とした.下腿周囲長は両下腿の最大周囲径の平均値とした.【結果】下腿周囲長と経口摂取やADLは有意な相関関係だった.肺炎群は短い下腿周囲長,嚥下調整食,低いADLでの退院だった.【結語】下腿周囲長と経口摂取やADLは関係ありだった.肺炎患者には注意が必要である.
7.経口的輪状咽頭筋切断術にて経口摂取を再開した封入体筋炎の1例:手指筋力低下を補助具にて自力でのバルーン訓練・OG法を獲得
1浜松市リハビリテーション病院リハビリテーション科
2京都大学医学部附属病院耳鼻咽喉科・頭頚部外科
1原 和也,2岩永 健,1藤島一郎
【症例】特発性好中球減少症を合併した封入体筋炎(IBM)の71歳女性.嚥下障害(FILS
Lv.4)に対し内視鏡的輪状咽頭筋切断術(ECPM)を施行.術後リハビリテーションにて,手指筋力低下に対し補助具を工夫しバルーン訓練・OG法を自力獲得.嚥下機能はLv.5(嚥下調整食2-2(2食)とOG法(1食))で退院し,在宅でLv.6に改善した.【考察】ECPMはIBMの嚥下障害に有効で,補助具の工夫にてバルーン訓練・OG法の自力獲得は可能と考えられた.
8.急性期病院におけるcough-inducing method using a tartaric acid(CiTA)の有効性の検討
聖隷浜松病院リハビリテーション科
新谷可恵,西村 立,薮﨑敦子,伊藤悠介
酒石酸ネブライザー吸入を咳の誘発を目的として行う手技,cough-inducing
method using a tartaric acid(CiTA)の有効性を後方視的に調べた.嚥下造影検査を行った患者のうち,喉頭侵入または誤嚥しCiTAを行った144人を対象とした.CiTAに反応したのは106人(73.61%)だった.FILSはCiTAによる咳反射と関連する傾向を示し,年齢は間接的なリスク因子であった.
9.リハビリテーション療法に難渋しているCritical
illness polyneuropathyの小児例
信州大学医学部附属病院リハビリテーション科
長峰広平,成本 悠,西村慎也,吉村智樹,池上章太,堀内博志
Critical illness polyneuropathy(CIP)は重症疾患に伴う末梢性神経障害であり,小児の報告例は少ない.症例は14歳女児.X年3月重症市中肺炎を発症し,5月両側肺移植を施行した.経過中にCIPが判明し,7月リハビリテーション目的に当院転院した.転院時は四肢の弛緩性麻痺でADL全介助であった.集中的リハビリテーション治療を実施しているが,麻痺の改善は乏しく,ADL汎化には至っていない.本症例をふまえ,小児のCIPの神経予後と生活環境構築に関して考察していく.
座長 刈谷豊田総合病院 八木友里
10.急性期病院における慢性硬膜下血腫術後患者の自動車運転再開評価の検討
総合病院聖隷浜松病院リハビリテーション科
西村
立,薮﨑敦子,新谷可恵,津幡拓也
急性期病院の当院では,慢性硬膜下血腫の症例について脳神経外科からの依頼により当科で高次脳機能評価を行い,総合的に自動車運転再開を検討している.その中で,穿頭ドレナージ術直後は機能低下を認め,外来で再評価を行う症例があるため分析した.【対象】2025年4~11月に外来で運転再開のための評価を行った9例.【結果】9例中6例は運転再開可能なレベルと判断したが,3例は運転再開に至っていない.文献的考察を含めて検討する.
11.演題名:ポリオ経験者で松葉杖の大振り歩行に伴う頭部動揺が誘引と考えられた頸椎椎間板ヘルニアの一例
藤田医科大学医学部リハビリテーション医学講座
戸田芙美,大高洋平
ポリオ経験者の68歳男性.松葉杖の大振り歩行を長年行っており,ポストポリオ症候群の診断後,2点交互歩行を指導していたが,患者は歩行速度を優先し,頭部を前後に振る大振り歩行を続けていた.手指のしびれや巧緻性障害が出現し,C3/4,C4/5椎間板ヘルニアと診断された.頸椎のアライメントは正常で,歩行時の頭部の動揺がヘルニアの主因と考えられ,歩行指導や頸椎カラーの検討など適切な介入の重要性が示唆された.
12.AI議事録サービスを活用した病状説明書作成の有効性および実装課題に関する予備的検討
浜松市リハビリテーション病院リハビリテーション科
山口泰輝,原 和也,昆 博之
病状説明書が情報共有において有効だが,業務負担や文書内の言葉選び,当日の質問が反映されにくいという課題もある.当院では業務効率化と患者理解の促進を目的とし,AI議事録作成サービスを活用した病状説明書作成を試験的に導入した.作成時間短縮や理解しやすい文書作成という効果とともに,専門用語の誤変換や出力の質の揺らぎといった課題を抽出した.具体的な運用を今後の展望と共に報告する.
13.脳卒中患者の肩関節亜脱臼による疼痛への介入とリハビリテーション
東名古屋病院
柏原 学,竹内裕喜
脳卒中後の肩関節亜脱臼は安静時疼痛の原因となり,回復期でのリハビリテーションを進めるうえでの阻害因子となることがしばしば経験する.そこで我々は,当院の回復期リハビリテーション病棟に入院した脳卒中後の患者の麻痺の程度と肩関節亜脱臼の程度,疼痛の関連について調べた.安静時疼痛には様々な原因が関わっており,回復期における肩関節亜脱臼による安静時疼痛に対して効果的な介入方法を考察する.
総会
12:50 - 13:00
研修会に先立って総会を行います.ぜひご参加ください.
専門医・認定臨床医生涯教育研修会
特別講演 13:00 - 15:00
講演1
嚥下障害のカニューレ管理と外科的治療−リハビリテーション科医の臨床に活かす
耳鼻咽喉科的アプローチ
京都大学医学部附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科 岩永 健
司会:岐阜大学医学部附属病院脳神経内科 國枝顕二郎
講演2
在宅における嚥下障害診療の実際
医療法人爽倫会あいむホームケアクリニック 黒川雅史
司会:浜松市リハビリテーション病院リハビリテーション科 重松 孝
◎日本リハビリテーション医学会専門医・認定臨床医認定単位について
地方会学術集会:学会参加は専門医1単位,認定臨床医10単位
発表筆頭演者は専門医1単位,認定臨床医10単位
参加費:1,000円
生涯教育研修会:1講演毎に専門医1単位,認定臨床医10単位
受講料:1講演毎に1,000円
認定単位非取得者は単位数に関係なく受講料1,000円
◎認定臨床医資格要件
認定臨床医認定基準第2条2項2号に定める指定の教育研修会(必須以外)に該当します.
平成19年度より「認定臨床医」受験資格要件が変更となり,地方会で行われる生涯教育研修会も1講演あたり10単位が認められます.
当番幹事:國枝顕二郎 〒501-1194 岐阜市柳戸1-1
岐阜大学医学部附属病院脳神経内科