リハビリ研修を開始した医師からのメッセージ

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**科専門医,卒後**年目のQ先生.リハビリの研修を希望して当講座に来て3ヶ月目.現在感じているリハビリテーション医学・医療について尋ねました.

リハビリ科に来て今,何を感じていますか ?


追加質問とその返事を読んでみる

私が卒業した大学では,リハビリテーション講座がなく,リハビリという学問については全くといっていいほど知識がありませんでした(解説1).大学を卒業して,**科の医局に入り,2年間の研修期間では内科,外科,脳外科,循環器科を回りました.その後は,ずっと**科をいろいろな病院でやってきました.

私のいた県(中部地区)では,はっきりいって,リハビリに対する認識というものがかなり低いです(解説2).リハビリイコール整形外科というイメージが強く,病院によっては,脳卒中患者でも,全部整形外科に回してリハ処方を出してもらうところもあります.また,別の病院では,主治医が好き勝手に処方を出して,そのあとはPT,OTにお任せ状態でした.装具についても,全然わからないので,PTが「作った方がいいです」と言えば,「そうですか.そしたら,お願いします.」という感じでした.

患者さんが,病状が落ち着いて,本当に知りたいと思っているのは,これからの生活をどうやって過ごしていくか,どうしたら過ごしやすくなるか,どうしたら少しでも幸せに生きていけるか,ということなのに,自分の知識がないばかりに,その大事なことに立ち入ることがほとんどできずに過ごしてきました.
そういうことではいけない,最後まで責任を持って患者さんに関わっていきたい(解説3),と思ったのが,リハビリの勉強をしたいと思った理由です.

こちらの大学病院で勉強できることになり,この4月から仕事をさせていただいています.3ヶ月が過ぎて,いろいろ気づかされたことがあります.
まず,今までしてきた医療と,リハビリは全く視点がちがうということです.今までは,患者さんを診たときに,そうであってはいけないと思いながらも,疾患だけを見ていたところがあります.疾患に対する治療だけで自分の医療が完結していたところがあります.もちろん,疾患に対する治療は大事ですが,いざ病状が落ち着いたときに,この人はここまでだ,と見切りをつけてしまうのが早かったのではないかと思います.

それは,その後の方法を自分が持ち合わせていなかったせいですが.その点,リハビリは患者さんの視点に立つところからすべてが始まります.そして,他の科が切り捨ててきた部分,あきらめてしまった部分を,突きつめていきます(解説4).
患者さんを幸せにする手段をリハビリはたくさん持っている気がします.そういった意味では,リハビリは哲学ですらあると思いました.

これから,私ももっと勉強させていただき,患者さんにとって最後まで責任を持てる,患者さんを少しでも幸せにできる医者になりたいと思っています.

2002.8.9 Layout by Shigeru S