FIT programの成果

なぜFITか  FITの内容は  病棟日誌  FITの成果



永井将太, 園田 茂, 才藤栄一, 奥山夕子, 長谷川昌士, 川北美奈子, 金田嘉清: The Full-time Integrated Treatment (FIT) Programの効果. 総合リハビリテーション 31: 175-183, 2003

研究の目的
私たちが開発した新しいリハビリプログラムであるFIT program の治療成績を,旧来のリハビリプログラムの治療成績と比較することで,FIT program の効果を証明するために行いました.
旧来のリハビリプログラム
1)週5日訓練(土日祝日はお休み)
2)病棟と訓練室は離れており,訓練前後に送迎を必要とする居住環境
3)医師―看護師―療法士間のコミュニケーションは週1回の回診やカンファレンスによる
対象および方法
リハビリの効果や予後は疾患や障害の程度などで変わります.そこで今回は,一側性の大脳病変を有する脳卒中初回発作の片麻痺患者で,発症後期間が80日以内,入院時FIM運動項目合計点75点以下,重篤な合併症を持たないという基準で症例を選択しました.
これらの症例をFIT program による治療を受けた患者群63例(以下,FIT群)と,FIT program 開始前に当院で旧来のリハビリプログラムを受けた患者群67例(以下,pre- FIT群)の2群に分け,その治療成績を比較しました.
ちなみに,FIMとは日常生活活動(ADL)を評価する指標であり,運動項目13項目(以下,FIM-M)と認知項目5項目(以下,FIM-C)から成ります.満点はFIM-Mが91点,FIM-Cが35点であり,得点が高いほどADLの自立度が高いことを示します.
結果要約
1)両群で,年齢,性別,診断名,麻痺側,発症後期間,入院時の麻痺の程度に差は認められなかった.
2)在院日数は,FIT群で,Pre-FIT群より約12日(87%に相当)短く,両群に有意差を認めた.
3)両群で,自宅復帰の割合は有意差を認めなかった.
4)入・退院時のFIM得点は- M,-Cの全てにおいて2群間に有意差を認めなかった.しかし,それぞれ退院時の値はFIT群で高い傾向にあった.
5)退院時FIM-Mから入院時FIM-Mを引いたFIM-M利得は,FIT群で有意に大きかった.
6)治療効率を比較するため,在院日数とFIM-M利得との関係を散布図で示す.FIT群は,Pre-FIT群に比べ左上方(在院日数が短くFIM-M利得が大きい)に集中しており, FIT群において効率のよいFIM利得が得られたことを示していた.
まとめ
FIT programは,空間的・情報的に高度に統合化された環境で,土日祝日も含めた毎日訓練,全日訓練を行うことにより,自宅復帰率を下げることなく,より大きなADL改善と在院日数短縮を実現することを証明しました. FIT programは,これからのリハビリ医療の合理的な方向性のひとつを示すものと考えています.

2003.5.8 contents; Nagai, Layout; Sonoda