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第116回七栗リハビリテーションセミナー

日程

2019.10.28(月) 18:20-19:50

講師

鈴木英謙 先生  三重大学大学院医学系研究科臨床医学系講座脳神経外科学教授

演題名

脳卒中の最新治療:脳神経外科の立場で

講演内容

 脳卒中の患者は、高齢化に伴い増え続けている。脳卒中を発症すると、後遺症により介護が残る場合が多く、80歳以上では3人に1人が生活に介助が残るという。要介護度が高い原因疾患の1位も脳卒中であり、その約3割を占める。脳卒中は命に関わる病気であり、命を取り留めても後遺症が残る場合が多く、予防と機能回復、また急性期での治療が重要となる。今回は急性期の脳神経外科での脳卒中治療についてお話しいただいた。
 脳卒中には脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3種類がある。脳出血に対する治療は主なものに神経内視鏡手術があげられる。これは内視鏡下で出血による血腫の吸引をしたり、損傷された血管を焼いて出血を止めたりするものである。脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の治療は、開頭クリッピング術、脳血管内手術、コイル塞栓術が行われている。手術による動脈瘤破裂のリスクもあるため、仮想手術や新形状デバイスなどの技術を利用した慎重な手術が行われている。脳梗塞に対する治療は、病院到着後1時間以内でt-PA治療(血栓溶解療法)、2時間以内に血管内治療が勧められている。脳梗塞により脳細胞が完全に損傷してしまうと、血液が再開通しても脳の機能は戻らない。そのため脳梗塞に関しては特に4.5-8時間以内の早急な治療が求められる。三重県の現状は、4.5時間以内に治療された割合は5%、3時間以内は2%と最適医療が普及していない状況であり、どの地域でも最適医療が受けられるように、脳卒中緊急医療体制の改革が進められている。
 今後期待される最新の治療としては、万能細胞を活用した再生医療や、身体機能の代償としてブレイン・マシン・インターフェースの利用があげられる。

  また、手術の技術が向上しても、現段階では後遺症が残ることが多く、脳卒中予防の重要性についてもお話しされた。これまでの生活 習慣の修正と薬物療法加え、個別化医療、予測医療先制医療、生涯型医療などの特定の分子を標的にした新しい予防や治療の開発が進め られている。

会場

藤田医科大学七栗記念病院 七栗記念ホール

〒514-1295 三重県津市大鳥町424番地の1

<2019.11.2> 

                                                                  

 

    

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