第76回七栗リハビリテーションセミナー

日程demo

2012.9.7(金) 18:30-20:00 

講師

福井 勉先生 文京学院大学教授

演題名

皮膚運動学

講演内容

エンドモロジー、筋膜リリース、皮切のための皮膚緊張線などが皮膚運動学にたどり着くヒントとなったそうです。皮膚の誘導手段を3つ挙げて貰いました、(1)しわを取り除く、(2)骨突出部上の弛緩、(3) stretched skin tension line (SSTL)。

(1)「皮膚が余る部位(例えば肩屈曲したら肩鎖関節あたりに皮膚が余る)からは皮膚は出て行く」「皮膚が足りない部位に皮膚は入る」の方角に皮膚アシストする(肩鎖部では皮膚を遠位側に引っ張る、腋窩側に皮膚を寄せる)と可動域が拡がります。背中を上から下にこする、お尻を下から上にこすることで、体幹前屈がより大きく出来るようになります。水平内外転の場合、指尖の皮膚も動くことにも着目していました。動きの幅は中枢部より小さいのですが、指尖でコントロールすることが出来るそうです。下肢でも同じで、足関節背屈のためには、アキレス腱部の皮膚が増すように上下から皮膚を持ってくる、持ってくる方向でこする、と良いことになります。

(2) 股関節外転し易くするには、大転子が出てきにくくする目的で、大転子上の皮膚を引っ張って緊張を高めると良いそうです。体幹前屈をし易くするためには、脊椎棘突起の所の皮膚を緩め、膝窩やアキレス部の皮膚も緩めると良いことになります。

(3) 緊張に関しては、屍体で調べたLanger line, しわの直交線, relaxed skin tension line (RSTL - 皮膚をつまんだときに皺が並行に長く走る方向)などがあります。リハビリでは、緊張した肢位での皺のよりかたを見るとよいと説明されました。一番太い皺の方向に引っ張ると良いそうです。テービングで皮膚を先に外旋させると、外旋運動がし易くなります。右頭部皮膚を前へ、左頭部皮膚を後ろに引っ張ることを繰り返すと、首が左に回りやすくなります。足のMP屈曲、IP伸展をすることで前足部の安定化も教えて戴きました。

理解できる原理に基づいて臨床を組み立てていくスタンスは非常に納得しやすいものでした。「互いに実習してください」、まであり、満足感の高い講演でありました。

 

lecture

 

 

 

 

 

会場

三重県総合文化センター

2012.9.7