第82回七栗リハビリテーションセミナーtanemura

日程

2013.8.27(火)  講演 18:30-20:00

講師

種村 純先生 

演題名

記憶の評価と訓練の適応

講演内容

健忘症候群、認知症との鑑別などから講演が始まりました。記憶障害の原因から、Papezの回路に話が進み、Papezの回路という比較的古い脳領域で高次脳機能障害の重要な要素である記憶障害が起こることをどう考えるかとの問題提起をされ、前頭葉と後方を繋いで記憶処理をするのがPapezの回路と考えれば良いとの可能性を示唆されました。3段階貯蔵モデルを説明し、短期記憶不良・長期記憶良好の場合は「注意障害、伝導失語のような言語情報処理障害」、短期記憶良好・長期記憶不良の場合は健忘障害のような「早期・再生の体制化障害」と解説されました。

短期記憶の情報処理の側面を強調するとワーキングメモリと呼びます。ワーキングメモリを考えたBaddelyがdysexecutive syndrome遂行機能障害を用いたことに注目して欲しいとのことでした。手続き記憶 vs 陳述(宣言)記憶(意味記憶、エピソード記憶)の説明も頂きました。

逆行性健忘の検査として、1週間置いて同じ質問をして、同じ答えが得られるか、を使うとよい、とお勧め頂きました。言語性記憶テスト、視覚刺激の記憶、記憶尺度などをまとめて頂きました。続いて、疾患別記憶成績もまとめて頂きました。

記憶するのには、繰り返し覚えるなどが大切である。しかし、記憶障害で訓練反復は記憶機能を改善させる根拠はありません。記憶する方略に話が進み、誤りなし訓練の重要性を説明されました。リハーサル中に意味処理をするのがポイント、とのことでした。領域特殊的知識という概念があり、ある領域だけ覚えられる場合があります。現実検討識訓練や、生活史の再校正などにも触れて頂きました。

記憶障害患者の4割は職場復帰、失語症では1-2割とのことでした。

経験に裏付けられた基礎からまとめるご講演であり、三重の知識レベル向上に非常に役立ちました。

 

 

tanemura

 

 

 

 

 

 

 

会場

三重県総合文化センター

2013.8.27