第88回七栗リハビリテーションセミナー

日程

2014.9.19(金)  講演 18:30-20:00

講師

アクセスインターナショナル 代表 山崎泰広 先生 

演題名

車いす使用者のためのシーティングの活用
~シーティングで変わる車いす使用者の未来~
~離床時間の延長、褥瘡・変形等・二次障害の防止、自立支援、介護軽減~

講演内容

アクセスインターナショナル代表の山崎泰広先生に国際シーティング・シンポジウム(ISS)に基づいた知識を分かりやすく、ご説明して頂きました。
 障害者にはシーティングを考慮したモジュラー型車椅子と褥瘡予防用のクッションなどを適合させる事が大切。そうすれば、車椅子は単なる運搬用としての道具でなく、安全性と快適性を伴った移動手段にすることができる。車椅子は生活の場であることが望ましい。
 障害者の変形、褥瘡などの二次障害は日本では諦められていることが多いが、欧米ではシーティングによって防止できると考えられている。障害がある→姿勢が悪い、だから二次的障害が生じる。であれば姿勢に介入をすればよい。ここで大切なのは、可動域が存在している「早期」に介入する事である。特に危険な時期は、成長期や病気をしたときである。
 シーティングについて最初にすべき事は、姿勢の問題と目的を明確にする事。シーティング後には、改善できた事と改善できなかった事を確認する。成人では、安定性の提供、快適性の提供、褥瘡の予防が主目的である。
 シーティングでは、土台となる「骨盤」を重視する。評価では、左右の上前腸骨棘と上後腸骨棘の触診によりそのアライメントを理解する。骨盤後傾を助長させてしまうと尾骨の褥瘡発生、脊柱の円背、それに伴う視野の低下、嚥下や呼吸機能低下にもつながりやすい。
介入ではバックレストで骨盤を前に押し出すとともに、コントゥア(臀部から腿の形状に合わせた形)クッションを使用する事で、前ずれせずに骨盤の後傾を防止する事ができる。コントゥア形状により、圧の分散にもつながる。骨盤をウェル(窪み)の中に位置させる事が大切。褥瘡予防に注力するなら、座骨にあたる部分の圧を軽減させる素材を選ぶ事が大切。ステイブル・ペルビス・リクライニング(SPR)の考えに沿って、上後腸骨棘を支点に胸郭を伸展させながらのリクライニングをさせることで一般的なリクライニングに比べ、骨盤は後傾しにくい。
 前額面上の問題である脊柱の側彎についてもやはり骨盤の水平を改善させる事が大切である。ラテラルサポートを使用する際には、湾曲した脊柱の凸の頂点を支える事が大切。その際に、脊柱の高さではなく、その脊柱の肋骨部にラテラルサポートを当てる事が必要である。 その他、症例を提示して頂きながら具体的な介入方法を教えて頂きました。

会場

三重県総合文化センター

2014.10.2