私の目から見た藤田リハ

川崎医科大学リハビリテーション医学教室  関 聰介先生

私は、2002年4月〜2003年3月末までの約1年間、藤田保健衛生大学リハビリテーション医学講座でお世話になりました。ここでは他大学出身である私の目から見た、藤田リハの感想を記したいと思います。同講座を総合的に見たとき、臨床・研究・教育のシステムが十分確立しており、各々がバランス良く機能している印象を受けました。  

臨床面では、多彩な疾患を扱う豊明の大学附属病院、回復期リハビリテーション病棟を有し、「統合的高密度リハビリプログラム:FIT Program(the Full-time Integrated Treatment Program)」を実践し、実績をあげている七栗サナトリウム、市中病院で地域リハを実践している坂文種報徳會病院、と様々な側面が見える3病院で異なるタイプの臨床経験が可能です。 

研究面では、摂食・嚥下障害(米国Johns Hopkins Universityと共同研究)、 装具使用による対麻痺歩行再建、新しい装具の開発(調整機能付き後方平板支柱短下肢装具)、高次脳機能障害の研究、懸垂式トレッドミルを用いた歩行分析、麻痺肢の強制使用訓練法(CI療法)など分野は多彩で、尚且つリハビリテーション医学会の中心で御活躍の先生方の適切な指導の下で、研究ならびに議論が行えます。

教育面では、医学部生卒前教育や大学院での研究、医学生リハビリテーションセミナーの施行、学園内リハビリ専門学校・大学衛生学部では、多くの優秀な療法士が育成されており、医療現場や研究場面で活躍されておられます。

その他、医師、看護師、療法士、医療機関職員、福祉職員に対しリハビリテーション領域における基礎的、臨床的な情報提供を目的とした七栗セミナーや、他大学ならびに他施設から国内留学生や研修生を多く受け入れ、知識や技術の積極的な交換が行われています。

 私が在籍していた七栗サナトリウムは、常時120〜130名の入院患者に対し、6名(うち1名は園田病院長先生)のリハ医が治療を担当していました。疾患では、脳血管障害患者が大多数を占め、充分な症例経験が可能であり、FIT programにより、「治療の質を落とさず、尚且つ最短の期間」で訓練を行えるよう、チームで日々奮闘していました。また、療法士の先生は平均年齢も若く元気で、レベルアップやスキルアップに余念がありません。ここでは医療だけでなく、リハ医としてチームの方向性がずれないように、舵取りや教育をする自分自身の良い勉強の場にもなりました。

 何より、主任教授の才藤栄一先生がパワフルで、医療者として興味をそそられるようなプロジェクトやシステムを次々と構築されます。才藤先生が掲げておられる、「総合的リハビリテーションシステム(藤田リハのWebを御参照ください)」が着実に実現しつつあることを、実際私は肌で感じました。自分自身とても有意義な経験と財産を頂き、他大学にも関わらず優しくしていただいた藤田リハの皆様方に感謝をし、是非リハ医になりたいと希望されている先生方にお薦めしたいと思います。乱文ながら最後までお付き合いいただき有難うございました。

2007.4.4