藤田リハビリテーション Research Conference 2006 
(FRRC 2006)

日時
 平成18年12月9日(土) 14:00〜17:00
会場
 藤田保健衛生大学衛生学部 リハビリテーション学科棟 505

上記日程にて,FRRC 2006が開催されました.
この会は,藤田リハビリテーション部門で行っている研究プロジェクトの内容を紹介し,意見交換を行うために,今年から開催されました.
以下に,簡単ではありますが,発表内容を紹介させて頂きます.

文部科学省科学研究費およびその他の公的資金による研究  馬場 尊

 
Φプロジェクト, WPALプロジェクト, FITプロジェクト, その他の研究(MOCAL, 脳卒中follw-up studies, CIQ, 七栗サナトリウム(PT関連, NST関連)など様々な公的助成を受けて研究が進んでいる. 今後はさらに新たな研究課題に取り組み,藤田リハビリ部門の活動性をアピールしていきたい.
第一・坂種・学校における研究  澤 俊二

 
第一病院(MOCAL, 脳卒中, follw-up studies, CIQ, Sensory, Prism, TES, 急変・事故, 呼吸リハビリ, MIS), 教育板種病院(股関節班, 膝関節班, Cube), 学校(臨床実習実態調査)など様々な研究を行っており, 今後も引き続き意義のある研究に取り組んでいきたい.
φ(摂食・嚥下に関する研究)  岡田澄子

 
本プロジェクトは「食す」の生理学と病態生理学,そのリハビリテーションを追求するものである.目標は, 摂食・嚥下リハビリテーションが,これまでのリハビリテーション医療が行ってきた歩行再建の社会的貢献に比し,同等以上の社会的貢献を果たすこと,すなわち,摂食・嚥下障害をリハビリテーションのmost effective targetとすることである.
How(短下肢装具に関する研究)  藤野宏紀

 
自由度制約という概念に基づき「機能性」,「調整性」,「外観性」を基本コンセプトに「調整機能付後方平板支柱型短下肢装具APS-AFO」を(株)ティムス,東名ブレース(株)と共同開発を行っている.現在進行中の研究としては「回復期例での長下肢装具への対応」や「アルミ支柱とゴム弾性を使用した底屈制動」があり.臨床や実験でのデータを収集,解析を行っている.今後もより使いやすい装具の開発を目指し研究を行っていきたいと考えている.
Tomy(トレッドミルに関する研究)  大塚 圭

 
トレッドミルを評価機器として活用し,分析法や周辺機器の開発を行っている.最近では,トレッドミルに限らず簡易的に計測・分析ができる機器を横河電機工業株式会社と共同開発している.実践的な歩行分析機器や分析法を臨床に取り入れ,科学的根拠に基づいた歩行分析や治療法の確立を目指している.
WPAL(脊損歩行再建に関する研究)  村岡慶裕

 
内側股継手付長下肢装具を発展させ,現在,下肢麻痺者の自立歩行を達成する装着型歩行補助ロボット(Wearable Power-Assist Locomotor,以下WPAL)の開発を進めている.WPALは,内側股継手付き長下肢装具Primewalkに,動力を付加したロボットであり,股関節,両側膝関節,両側足関節に計6つの駆動モータを長下肢装具の内側に配備している. 将来的には,装具部とロボット部は分離可能な構造とし,立位歩行時のみ結合する機構とする予定である.
Eco研(環境適応に関する研究)  杉山智久

 
ひとの「行為」を生態心理学的概念でとらえ,運動療法の具体的な展開に応用することを目的に研究活動を行っている.現在,床上動作を通して視覚的・身体感覚的なボディーイメージを再構築する事で,環境と自己との関係が変化するかを検討中である.また,上記概念で捉えた運動療法,動作分析について,年一回の技術講習会による啓蒙活動も実施している.
FIT(統合的高密度リハビリに関する研究)  奥山夕子

 
FIT programは,回復期リハビリテーション病院の中心施設として活動してきた.今年度は,診療報酬改定で引き上げられた上限9単位リハの治療体制を整え,これまでの上限6単位リハとの効果を比較検討していく準備を進めている.また,活動範囲を全国回復期リハ病棟連絡協議会に広げ,同会の理事および各種委員を輩出し,各種研修会の講演を実施してきた.さらに,今後の診療報酬改定の提言や回復期リハのあるべき姿を提唱するため,リハの質,量とアウトカムとの関係を検討する全国規模の実態調査にも携わっている.
七栗における研究(全般的に)  岡崎英人

 
PTを中心として「アナボリックステロイド,装具使用調査,ミラー療法,トレッドミル」, OTを中心として「上肢実用度,感覚評価,高次脳機能障害,シーティング,麻痺手の強制使用」が研究されている.NSTに関連して「NSTとリハ帰結」が研究され,NST群には予後の悪い患者が多いはずであるのに非NST群と同等のFIMとなっていることが示され, 地域リハの新たな方向性を探る「志摩地域リハ」では月1回程度のヘルパー研修でその地域の在宅障害者家族の介護負担が対照地域よりも軽減されたことを報告した.
Clover(データベースに関する研究)  尾関 恩

 
客観的患者情報の蓄積とその活用を目的に臨床データベースを導入した.引き続きデータベースのバージョンアップを図り,入力作業の簡便性追求やEBMに必要なデータ蓄積を促進させる.また,急性期医療が中心である第一病院と地域密着型の坂種病院と回復期リハビリテーション病院である七栗サナトリウムの各病院データを用いた大規模な研究を行い,精緻な患者治療に役立つ帰結と経過予測への応用を検討する.
COSPIRE(新しい療法士育成プロジェクト)  岡田 誠

 
COSPIREプロジェクトは,リハビリテーション専門家の卒前・卒後学習のあり方として「臨床中心の視点で再定義した総合システム」を達成するための研究・開発プロジェクトである.重要なことは,「患者」に対して今の自分に何ができるか,ということを常に考えることである.決して受け身的にならず,「積極的に」かつ「活動的に」,そして「建設的に」COSPIREプロジェクトについて考え,実行することが重要と思われる.

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2006/12/25 kato