藤田リハビリテーション医学・運動学研究会

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第50回 06/1/14

経験的リハビリテーション研究論
講師 才藤栄一 先生
        藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学講座 教授


藤田保健衛生大学リハビリテーション部門研修会が第50回を迎え、本研修会の会長であります才藤先生に講演頂きました。今回は『経験的リハビリテーション研究論』と題しまして、過去の研究から現在進行している最先端の研究に至るまでのさまざまな分野から、臨床研究の意味・目的について詳しく説明して頂きました。今後、私たち訓練士が専門家として臨床を生きるにあたり尺取り虫の話は心に残り、実践すべきことであると感じました。


要旨

経験的リハビリテーション研究論

 優れた専門家とは、約5万の概念を駆使して、複雑な事象を巧みに解決していく存在である。専門家は、自分の課題を解決するために科学を利用するが、その科学は「学校の試験のようにそのまま問題と解答が用意されたもの」としては存在していない。課題を同定し、それに必要な科学を明らかにして適応するという作業は、極めて高度な知的過程であり、その過程を実践することで専門性が高まる。そのトレーニングには臨床研究が必須といえる。この講演では、私自身の今までのリハビリテーション医学研究の過程を辿りながら、研究を自分の生活に取り入れることが、専門家としてどうして必要かを説明したい。臨床家として行う臨床研究の目的を、1)歪む記憶の修正、2)超自我形成、3)騙されない、4)常に不完全な現在、5)新行動形成(学習機能保有)、6)臨床要求、7)学会は「村」、8)システム創造、9)neophiliaに分けて、自例と共に論ずる。


宇宙からみたリハビリテーション医学〜われわれに何ができるか
講師 里宇明元 先生
        慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室 教授

 今回の講演は、国際宇宙ステーション計画や宇宙旅行の話題もメディア等で取り上げられている宇宙について、リハビリテーションの重要性を示した近未来的な話でした。微重力環境は身体へさまざまな影響を与え、リハ医学と宇宙での身体不活動に伴う廃用症候群は深く結びついており、特に筋萎縮の対策について具体的に示されました。一般の人が宇宙空間を体験する機会が間もなく到来することを予感する今、新たにリハビリテーションが必要とされる貴重な講演で、私達はより広い視野を持たなければならないと感じております。


要旨

宇宙からみたリハビリテーション医学〜われわれに何ができるか

 国際宇宙ステーションへの日本人宇宙飛行士の搭乗が数年後に迫る中、宇宙滞在中および帰還後のさまざまな生理的変化に対するリハビリテーションの重要性が注目されている。宇宙での微少重力環境はまさに廃用症候群を引き起こす極限的環境であり、一方ではベッドレストに伴って生じる心身の変化は微少重力環境における生理的変化を理解し、その予防策を考える上で多くの示唆を与える。さらに微小重力環境における運動制御機構の問題は、神経科学の立場から興味深い課題を提起している。このように宇宙医学とリハ医学は、深く結びついており、相互に大きな貢献を果たしうる関係にある。


06/1/17 kato&shimura