第37回
日本リハビリテーション医学会学術集会
2000年6月22日から24日まで,東京ビッグサイトにおいて,第37回リハビリテーション医学会学術集会が開催されました.療法士の方々の目には,どのように映ったのでしょうか.
第1教育病院リハビリ部 言語聴覚士 久納俊雄
本学会は、2000年6月22日〜6月24日の3日間,総合コンベンションホール「東京ビッグサイト」で開催されました.学会に出席させて頂く意義を自己流に分析してみると,1)日々切磋琢磨した研究報告の場.2)他施設での研究成果について各研究者との議論.3)自己の知識向上.4)自施設のアピール.5)医療機器展示見学による新鋭機器の現況把握.6)出席スタッフとのコミュニケーション確立の場.ではないかと勝手に解釈しております.
今回は特に興味を抱いた「摂食・嚥下障害」を中心に,他施設の研究成果の報告を重視し拝聴させて頂きました.
今回のシンポジウムのテーマは「在宅医療に向けて −摂食嚥下障害者へのアプローチ−」であり,リハ医・耳鼻科医・歯科医・言語聴覚士の立場からの口演を伺いました.改めて,施設内での患者との関わりだけでなく在宅においても嚥下障害者に携わる者としてチームアプローチの必要性について再確認致しました.
各シンポジストの口演内容を以下に示します.リハ医から:ビデオ嚥下造影検査・水飲みテスト・フードテスト等を用いて的確な評価を行うことにより,入院時に行われていた摂食・嚥下管理や栄養管理が在宅でも施行可能かどうかの評価の必要性耳鼻科医から:嚥下障害者に対する外科的対応の方法として,輪状咽頭筋切断術・喉頭挙上術・喉頭摘出術等の手術方法の紹介歯科医から:嚥下障害者における認知期から食道期に至る各時期毎の口腔内の特徴・口腔ケアの手技・終末期患者の口腔ケアについて
言語聴覚士から:嚥下訓練の実際・摂食指導の実際等について,多方面からの貴重な知見を拝聴することができました.
嚥下は人が生命維持のために行う生物的な意義の他に,咀嚼し・味わった食物を飲み込み・空腹感を満たす「幸福感」,会食により仲間との幸福感を共有し「安心感」を得ることができ,人間として生きるためのより良いQOLをもたらす重要な行為の基本と考えています.
高齢化社会を向かえるにあたり,摂食嚥下障害者の増加が予測される状況をふまえ,我々言語聴覚士のレベルアップとともにチームアプローチの必要性を新たに痛感した次第です.最後に,学会出席に際してご許可頂いた全ての方々に感謝致します.