癌細胞での異常スプライシング
 
    真核生物のmRNA前駆体はRNAポリメラーゼIIによって転写され、①5’-キャップ形成、②スプライシング、③3’ポリ(A)付加、というプロセッシング過程を経て成熟mRNAとなり、細胞質に輸送されてタンパク質合成の鋳型となります。

選択的スプライシングの調節と破綻
 ヒトは2万個程度の遺伝子しかもたないが、組織特異的・発達段階特異的な選択的スプライシングによって12万種類以上の多種多様なタンパク質を発現し、高度な生命現象の基盤となっています。スプライシング機構はそれぞれの目的に応じて精巧に制御されているので、その破綻はさまざまな疾患の原因となってしまうのです。
 癌もその例外ではありません。
 癌関連遺伝子の異常スプライシングは、mRNA前駆体上のスプライシング調節配列の突然変異に起因するか、さもなければ、その配列に作用するスプライシング調節因子の変異が原因であると考えられます。癌は私達の体細胞の特定の遺伝子に後天的に突然変異が入ることが引き金になるが、引き起こされる異常スプライシングが癌の発生及び進行において重要な役割を果たしていることがわかってきています。
 私達は現在癌に関係して生じている様々な異常スプライシングに着目し異常スプライシングの実態とその原因の機構解明について研究を行っています。

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I. 成熟mRNA再スプライシング
 多くの癌細胞でTSG101遺伝子に生じる異常スプライシングの発生メカニズムの解析から、正常細胞では本来そこでスプライシングが停止し、直ちに核外に輸送されてタンパク質翻訳される成熟mRNAが癌細胞ではさらにスプライシングされてしまう事を示しました。

癌細胞でのトランスクリプトーム異常
 平成26年度から「疾患遺伝子網羅的解析センター」が発足し次世代シーケンサーHiSeq1500が稼働をはじめた。スプライシング異常を含めたmRNAの異常だけでなくmiRNAの発現異常も含め癌細胞でのトランスクリプトーム異常をグローバルに探索し、新奇癌特異的バイオマーカーを探索する。cheng_shumRNA_zaisupuraishingu.htmlshapeimage_2_link_0