前田 敏樹   村尾 佳則   下戸 学   平川 昭彦   中谷 壽男   
日本腹部救急医学会雑誌 29(1) 115-119 2009年1月 [査読有り]
症例は53歳の男性。草刈中に約3mの高さの土手より転落しフェンスで左側腹部を殴打し,その直後から同部に手拳大の膨隆を認めた。来院時,膨隆部に限局した圧痛を認めるのみで,腹膜刺激症状はなかった。腹部CTでは内腹斜筋の損傷と小腸の脱出を指摘されたが,腹水や後腹膜血腫,他臓器の損傷はなかった。以上より外傷性腹壁ヘルニアと診断し緊急手術を施行した。膨隆部直上で皮膚切開したところ,腹膜,横筋筋膜,内腹斜筋,外腹斜筋腱膜と断裂し腸管が脱出していた。腸管を精査したところ,色調には異常なく,浮腫もなかった...