稲葉 正人   荒川 宜親   
臨床透析 34(6) 631-636 2018年6月
<文献概要>透析室では多数の患者が同時に治療を受けているために,複数の感染経路を介してさまざまな病原体に曝露する危険性がある.透析室における薬剤耐性菌(以下,耐性菌)対策の基本は「標準予防策」と「接触感染予防策」であるが,さらに透析室特有の対策や各耐性菌の特徴に即した感染対策が必要となる.たとえば多剤耐性緑膿菌の感染対策としては,透析室や院内環境の日常的な衛生維持とともに患者を個室管理のうえ,使用したトイレなど湿潤環境の除菌が重要であるのに対し,多剤耐性アシネトバクターの場合では乾燥環境を...