野倉 一也   加子 哲治   島田 佳明   
OCULISTA (83) 52-58 2020年2月
肥厚性硬膜炎は脳脊髄の硬膜に炎症性肥厚を生じ、硬膜を貫通する脳神経や脊髄神経根を圧迫することで痛み、麻痺、失明や難聴、また誤嚥性肺炎などをもたらしうる疾患である。感染や腫瘍など明らかな原因があるものと、ANCA関連疾患やIgG4関連疾患といった免疫機序が関わる場合があり、後者では他臓器の肉芽腫や線維化が生じ、発病の発端が眼科や耳鼻科領域ないしは腎臓などの全身臓器のことがある。原因が特定できないものも多く存在する。診断に造影MRIは必須で、続発性の鑑別のためには治療前に各種自己抗体、抗ANC...