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第90回保健学セミナーのお知らせ

大学院保健学研究科 第90回保健学セミナーのお知らせ

藤田医科大学大学院 保健学研究科 保健学専攻では、6領域の大学院生が共に集まり、領域横断的に視野を広げ最新のトピックスを学ぶため、各分野の第一線で活躍されている学内外の先生や著名な研究者を講師に招聘した「保健学セミナー」を開催しています。
今回の第90回保健学セミナーは、臨床工学領域の企画担当で開催いたします。
演題 マイクロ流体チップテクノロジーの基礎とバイオ・医療応用
演者 豊橋技術科学大学 機械工学系 教授
柴田 隆行 先生
日時 2022年11月11日(金)18:00~19:30
場所 大学1号館5階 フジタホール500

ご講演要旨

 微細加工技術を駆使して、髪の毛(直径80µm程度)の1~2本分のサイズのマイクロ流路を作製し、手のひらサイズのチップ上で様々な化学・生化学分析や細胞の操作・分析・培養などを実現しようという研究が世界規模で盛んに行われている。本研究分野は、µTAS(Micro total analysis system)あるいはLOC(Lab-on-a-chip)と呼ばれている。本講演では、マイクロ流体チップテクノロジーの基礎を概説するとともに、バイオ・医療への応用展開の一例として、講演者が研究開発に取り組んでいるマルチプレックス遺伝子診断デバイスについて紹介する。本提案技術は、マイクロ流路チップに等温遺伝子増幅法(LAMP法)を実装することで、複数種類の標的遺伝子を1回の作業工程で同時・迅速・簡便に検査が可能な技術である。
 感染症診断は、症状に基づき病原体を類推し検査対象を選択する手法から、Syndromic(症候群)testingにシフトしています。症候毎に推定される起因病原菌、ウイルスをあらかじめ選択し、サンプル中の標的核酸を網羅的に検出するものです。この背景を基に今回ご講演いただく柴田隆行先生は、マイクロスケールの流路をシリコン樹脂製のチップ上で制御する理論モデルを構築され、マイクロ流路チップ上に複数の反応容器を自在に配置できる理論を確立されました。この流体チップを応用したマルチプレックス遺伝子診断チップを本邦にて開発された等温遺伝子増幅法loop mediated isothermal amplification(LAMP)法と組み合わせ、流路に接続した容器(3μl)中で反応を行い、複数標的を1回の検査で検出可能としています。本法は、フレキシブルな設計に加え、サンプル量・試薬コストの劇的な削減、検査時間の短縮にも大きく貢献しています。
 現在、「知の拠点 あいち」のプロジェクトにおいてこの研究シーズの製品化に向けて舵をきっているリーダーの柴田先生からマイクロチップテクノロジーの基礎についてかみ砕いてお話しいただけるようお願いしてあります。医療応用を含め興味深い話が拝聴できると思いますので、多くの学生、教員の参加をお待ちしております。
 
大学院保健学研究科長 金田 嘉清 
 
問い合わせ:井平 勝(0562-93-2629  mihira@fujita-hu.ac.jp)