第50回日本リハビリテーション医学会中部・東海地方会学術集会
ならびに専門医・認定臨床医生涯教育研修会

 

 

 

 

 

日 時
2022年1月22日(土)

 

会 場
オンライン開催

 

 

日本リハビリテーション医学会中部・東海地方会
事務局:藤田医科大学医学部リハビリテーション医学I講座内


 

学術集会

 

般演題 9:30 - 11:35 

 

座長 聖隷三方原病院   片桐伯真

  1. 浜松市リハビリテーション病院における肺炎の傾向

浜松市リハビリテーション病院リハビリテーション科
河野仁寿,藤島一郎

当院入院患者における肺炎発症患者の傾向を後方視的に調査検討した.その特徴は高齢で,男性に多く,BMIは低く,FIMは一定の傾向を示さなかった.肺炎分類では院内肺炎に区分されたが,重症度は高くなく,予後は比較的良好であった.そのうち,嚥下評価(嚥下造影検査・嚥下内視鏡検査)において,咽頭残留は約90%に,喉頭侵入は約80%に,誤嚥は約40%に認めた.肺炎患者のうち嚥下障害を約95%の患者に認め,嚥下障害が肺炎に深く影響していた.

 

 

2.高齢者の嚥下機能と身体パラメータの関連について
1名古屋大学医学部附属病院リハビリテーション科
2名古屋大学医学部保健学科理学療法学
1岡田貴士,1山口英敏,1菱田愛加,1金野鈴奈,1中村匡孝,2杉浦英志,1西田佳弘

高齢者の嚥下機能と身体パラメータの関連を検討するため,嚥下内視鏡検査を実施した65歳以上の症例324例を後方視的に調査した.頭頸部疾患,神経筋疾患,計測不能例,死亡例を除外した110例(平均77歳,男性69例)を対象とした.DSS,兵頭スコアを従属変数とし,年齢,性別,BMI,頚部周囲長,下腿周囲長,握力を独立変数として重回帰分析を行った.握力と性別はDSS,兵頭スコアと有意な関連を認め,嚥下機能の推定には筋力が有用であると考えられた.


 

 

3.急性期における摂食嚥下評価依頼理由と嚥下機能などの因子との関係
1松阪中央総合病院リハビリテーション科
2藤田医科大学医学部リハビリテーション医学T講座
1松尾 宏 2加賀谷斉

【目的】急性期では摂食嚥下障害が問題になることが多い.その評価依頼理由と摂食嚥下機能に関連する因子を後方視的分析した.【方法】2019年10月から2021年9月に急性期病棟に入院し,摂食嚥下障害のために評価依頼があった292人に検査後,臨床的重症度分類(DSS)を行った.依頼理由と因子との関係を統計解析した.【結果】嚥下困難の場合にはBody Mass Index,Glasgow Coma Scale合計点,Functional Independence Measure運動項目合計点・認知項目合計点およびDSSが有意に低かった.

 

 

4.嚥下機能改善術後にバキューム嚥下を獲得していた小脳血管芽腫の1例
1岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野
2浜松市リハビリテーション病院リハビリテーション科
3浜松市リハビリテーション病院歯科
1,2國枝顕二郎,2重松 孝,3野本亜希子,2藤島一郎

【はじめに】バキューム嚥下は嚥下時に食道内に強い陰圧を形成し,咽頭の食塊通過を改善する嚥下法である.嚥下機能改善術後にバキューム嚥下を獲得していた症例を経験した.【症例】39歳男性.X-12年より小脳血管芽腫摘出術を繰り返し,球麻痺による重度嚥下障害を来たした.X-1年,喉頭蓋管形成術+棚橋法を経て経口摂取が可能となった(FILS 2→8).X年5月VFで時折咽頭の食塊通過が速い所見が観察され,高解像度マノメトリを行うとバキューム嚥下が観察された.【考察】球麻痺に対する嚥下機能改善術後の一部では,自然にバキューム嚥下を獲得している症例がある.


 

 

 

5.右総腓骨神経麻痺と殿筋壊死後に杖無し歩行で修正自立した1例
1藤田医科大学医学部リハビリテーション医学II講座
2藤田医科大学七栗記念病院リハビリテーション部
1水野志保,2片田理紗子,2荻野渉弘

51歳男性,14mから転落して,骨盤輪骨折,両側踵骨骨折,右下臀動脈損傷,右殿筋壊死,右総腓骨神経麻痺,L1・L5椎体骨折.受傷後4か月で歩行は未実施,当院にリハビリ目的で入院.右AFO,両側arch supportとheel cushionを作製し,歩行練習を開始.受傷5か月で両松葉杖歩行が修正自立となった時点で,後方への重心移動を強化するため立位バランスロボットを使った練習とハムストリングス強化を1か月間実施し,杖無し歩行が可能となったので報告する.

 

 

6.18年前に両前腕切断を受傷し能動義手で社会復帰に至った患者に対して,筋電義手の導入を検討した1
1中部ろうさい病院リハビリテーション科
2産業医科大学医学部リハビリテーション医学講座
1,2堀 諒子,1渡邊友恵,1田中宏太佳,2佐伯 覚

60歳男性.18年前に両前腕切断を受傷.当院で両能動義手を作製し,家庭・社会復帰(農業)に至った.一部介助が必要だったADL動作も生活の中で自立し,農作業ではトラクターの運転が可能となった.
今回,生活・職業場面での作業効率改善を目的に,右側に評価用筋電義手を用いて訓練した.握力の出現で書字動作は筆圧が上がり簡便になった一方で,能動義手で家庭・社会に適合しており,現在も筋電義手独自の有用性を検討している.18年前と現在の能動義手の動作,及び筋電義手の動作を比較したので提示する.


 

座長 湖山リハビリテーション病院  殷 祥洙

7.当院回復期リハビリテーション病棟における担癌患者の帰結
藤田医科大学医学部リハビリテーション医学T講座
前田寛文,大高洋平,細川 浩,千手佑樹,和田義敬,松原正典,稲垣良輔,平野 哲,
柴田斉子

回復期リハビリテーション病棟に入棟する患者は高齢者が多く,並存疾患として悪性腫瘍を有する症例や回復期リハビリテーション対象疾患の発症原因に悪性腫瘍が関与している症例が散見される.今回2018年1月から2021年11月に当院回復期リハビリテーション病棟に入棟した担癌患者について,悪性腫瘍の進行度と入院経過,転帰について検討したので報告する.

 

 

8下肢に対する運動閾値未満の末梢磁気刺激を用いたリハビリテーション治療の可能性
1国立長寿医療研究センターリハビリテーション科
2千葉北総病院リハビリテーション科
3藤田医科大学医学部リハビリテーション医学I講座
1佐々木駿,1近藤和泉,1尾阜宙黶C2松浦広昂,3加賀谷斉

運動閾値未満の末梢磁気刺激を併用したリハビリテーション治療の実現可能性を検討した.対象は大腿骨近位部骨折術後7名,人工関節置換術後2名,腰部脊柱管狭窄症術後1名.健側大腿直筋へ磁気刺激器機を装着し,通常のリハビリテーション治療を行い,使用感などを7段階のLikert Scaleを用いて評価した.器機の装着による疼痛や不快感の訴えはほとんど見られず,訓練における支障も見られなかったことから,実現可能性が良好であることが示唆された.


 

 

9.ぶん回し歩行にボツリヌス療法とWelwalkの歩行訓練の併用が効果的であった1
1藤田医科大学医学部連携リハビリテーション医学講座
2藤田医科大学七栗記念病院リハビリテーション部
3藤田医科大学医学部リハビリテーション医学II講座
1岡負p人,2山森裕之,2後藤賢二郎,3杉山由夏,3園田 茂

症例は70歳男性.右被殻出血後12年.左片麻痺はSIAS-M2-1/2-4-2でSPSを使用し歩行は修正自立.尖足に対して定期的にボツリヌス療法を行なっている.これまでボツリヌス療法に歩行訓練を行なっていたが,ぶん回し歩行の改善がなかった.今回,ボツリヌス療法後にWelwalkでの歩行訓練を行い,訓練前後でぶん回し歩行が軽減したので若干の考察を加え報告する.

 

 

10.車椅子不備によるインシデントに対し再発防止に取り組んだ1
浜松医科大学医学部附属病院リハビリテーション科
有本直人

リハビリテーション医療では車椅子の調整も必要な観点である.しかし,調整事項は使用可能,不可の二元論で行われており,実際の車椅子の劣化状況までは評価されていないことが多い.当院で車椅子不備による移乗時の転倒により患者が大腿骨頸部骨折を受傷されるインシデントがあった.当科で再発防止のために,車椅子の劣化状況の評価も含め,医療安全に取り組んだ事案をここに報告する.

 


 

 

11.熱海土石流災害時の静岡JRATの支援活動
1浜松医科大学医学部附属病院リハビリテーション科
2浜松市リハビリテーション病院
3湖山リハビリテーション病院
4聖稜リハビリテーション病院
5すずかけヘルスケアホスピタル
1山内克哉,1永房鉄之,1高橋麻美,1有賀隆裕,1有本直人,2高橋博達,2藤島一郎,
3殷 祥洙,4五十嵐有紀子,5久野成夫

2021年7月3日,熱海市で大規模な土石流が発生,多くの住宅などを巻き込みながら流下し甚大な被害がもたらされた.熱海という観光地の利点を活かし, ホテルに避難所が設置されコロナ禍での感染対策には適していた.反面,避難者の活動が制限され予想以上に筋力低下が進行する者が多くみられた.そこで静岡JRATが7月21日から8月1日まで支援活動を行った.支援開始に至るまでの過程や,支援内容,その後の地域医療機関への連携活動について報告をする.

 

座長 静岡県立静岡がんセンター  伏屋洋志

12.【症例検討】骨盤転移を有する子宮体癌患者の自宅復帰に向けてリハビリテーションを施行した1症例
順天堂大学医学部附属静岡病院リハビリテーション科
田沼 明

【症例】50歳代女性【現病歴】子宮体癌術後,リンパ節再発,鼠径管再発あり,化学療法施行.左股関節が出現し,左骨盤転移を指摘.放射線療法施行中にリハビリテーション科依頼あり.【初診時所見】左骨盤に溶骨性変化あり.荷重部位ではないが疼痛が強く荷重は不可.【経過】3日後に退院予定とのことであり,歩行器での免荷歩行や起き上がり動作などの指導を施行した.再入院時には,疼痛の状態をみながら基本動作能力の改善を図った.当科治療開始3か月後に病状の進行により永眠された.


 

総会
12:40 - 12:50
研修会に先立って総会を行います.ぜひご出席ください.

 

専門医・認定臨床医生涯教育研修会
特別講演13:00 - 15:00
講演1
半側空間無視のリハビリテーション

 国立精神・神経医療研究センター病院 身体リハビリテーション部 水野勝広
司会:浜松市リハビリテーション病院 藤島一郎
講演2
障がい者スポーツにおけるリハビリテーション科医の関わり

 医療法人社団敬信会 大仁クリニック 寺門厚彦
司会:浜松医科大学 山内克哉

 

◎日本リハビリテーション医学会専門医・認定臨床医認定単位について
地方会学術集会:学会参加は専門医1単位,認定臨床医10単位
         発表筆頭演者は専門医1単位,認定臨床医10単位
参加費:1,000円

生涯教育研修会:1講演毎に専門医1単位,認定臨床医10単位
     受講料:1講演毎に1,000円
         認定単位非取得者は単位数に関係なく受講料1,000円

◎認定臨床医資格要件
認定臨床医認定基準第2条2項2号に定める指定の教育研修会(必須以外)に該当します.
平成19年度より「認定臨床医」受験資格要件が変更となり,地方会で行われる生涯教育研修会も1講演あたり10単位が認められます.

 

当番幹事:田沼 明  〒410-2295 静岡県伊豆の国市長岡1129
                  順天堂大学医学部附属静岡病院リハビリテーション科