第31回
日本リハビリテーション医学会中部・東海地方会

 

日 時:平成24年8月25日(土)10:00〜

場 所:大正製薬株式会社 名古屋支店
     名古屋市千種区千種2-17-18   TEL:(052)733-8112
   (地下鉄桜通線:吹上駅下車徒歩12分,JR中央線:鶴舞駅下車15分)
   (※駐車場の利用ができなくなりました. 公共交通機関をご利用ください.
    全館禁煙のためご協力願います)

 

◎日本リハビリテーション医学会専門医・認定臨床医生涯教育単位の取得について
1)本地方会参加により10単位が認定されます.
2)本地方会の筆頭演者は年度末自己申請により1演題10単位が履修できます.
 

当番幹事:加賀谷 斉 
    〒470-1192愛知県豊明市沓掛町田楽ヶ窪1-98
   藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学I講座   
   TEL:0562-93-2167 / FAX:0562-95-2906
         E-mail:rehabmed@fujita-hu.ac.jp  

 


地方会
一般演題 10:00-12:10 受付開始9:30

 

座長:聖隷三方原病院リハビリテーション科 片桐伯真

1.脳梗塞急性期の拡散テンソルMRIにてその後の機能改善が予測できた1症例
1浜松医科大学リハビリテーション科
2すずかけヘルスケアホスピタル脳神経外科
1鈴木麻美,1安田千里,1永房鉄之,1赤津嘉樹,1美津島 隆,2久野智彦

 【はじめに】拡散テンソルMRI(以下DTI)で錐体路の障害を評価することで,脳卒中後の機能改善の予測に役立った症例について報告する.【症例】77歳,男性.【既往歴】心房細動.【経過および現症】右中大脳動脈領域の脳梗塞を発症.tPA投与し,梗塞領域の再開通を認めるも,高次脳機能障害と左片麻痺が残存し著明なADL障害を認めた.しかし,DTIでは明らかな錐体路の神経経路に障害を認めなかったため,機能改善が予測され,ADLも改善をしたため,経過をDTIを含めた文献的考察を加えて報告する.

 

2.当院でリハビリテーションを施行した入院脳卒中患者の現状
1藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学I講座
2藤田保健衛生大医療科学部リハビリテーション学科
1小野木啓子,2尾関 恩,1加賀谷 斉,2太田喜久夫,1柴田斉子,1水野志保,1平野 哲,1石原 健,
1戸田芙美,1小杉美智子,1才藤栄一
 
 当科で使用しているリハビリテーションデータベースを用いて,平成23年度の当院入院脳卒中患者624名を後方視的に分析した.疾患別人数は脳梗塞419名,脳出血133名.くも膜下出血72名で,脳梗塞患者の55%が自宅退院であった一方,脳出血56%,くも膜下出血52%が転院していた.転帰先別にみた平均在院日数は自宅退院34.0日,転院50.1日,施設入所76.2日,FIM gainは自宅退院1.33,転院0.60,施設入所0.16で有意差を認めた.


3.脳血管疾患の回復期リハビリテーション転帰に影響する社会経済的因子の検討
愛知県済生会リハビリテーション病院リハビリテーション科
米田千賀子,山村怜子

  当院では無料低額診療事業を行っており,生活保護受給者などが回復期リハビリテーション目的で入院してくる.今回は平成23年4月からの1年間に入院した脳血管疾患患者について,生活保護受給の有無,退院先,入院日数,退院時FIMを後方視的に分析した.対象となった患者154例中,生活保護受給者は21例であった.自宅退院は7/21例,入院日数は受給有り91.0±45.8日,受給無し88.8±43.5日と差はなかったが,退院時FIMは受給有り78.1±35.8点,受給無し92.5±32.2点と受給有り患者で低い傾向がみられた.

 

4.速度,加速度を用いた片麻痺動作のなめらかさ指標の信頼性
1藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学II講座
2藤田保健衛生大学藤田記念七栗研究所
3藤田保健衛生大学七栗サナトリウムリハビリテーション部
4国立長寿医療研究センター病院機能回復診療部
5藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学I講座
1尾附K恵,1, 2園田 茂,2富田 豊,3大橋綾乃,2,3宮坂裕之,4尾阜宙黶C5加賀谷 斉,1岡本さやか
 
 藤田リハ部門では実用的な定量的片麻痺評価法を開発中であり,今回はなめらかさの指標の信頼性を初発テント上一側性病変患者60名で検討した.動作はStroke Impairment Assessment SetのKnee-Extensionとし,3日以内に2回計測した.拳上距離の10-90%区間で速度が負となっている面積の和と,加速度の正のpeak回数の連続5動作での平均値を算出し,級内相関係数を計算した.

 

5.訓練単位数上限の違いによるADL難易度パターンの変化
1藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学II講座
2藤田保健衛生大学七栗サナトリウムリハビリテーション部
1園田 茂,2渡邉 誠,2奥山夕子,1岡本さやか,1岡崎英人,1尾関保則,1成田 渉,1尾附K恵,1前田寛文

 2004年9月から藤田保健衛生大学七栗サナトリウムに回復期リハビリテーション目的で入院した脳卒中患者を対象に,順序ロジスティック分析を用いてFIM各項目の難易度を検討した.訓練単位数上限が6単位であった時期(2004.9入院-2006.3入院まで)の356名と,訓練単位数上限が9単位であった時期(2007.4入院-2012.3退院まで)の960名に分けると,退院時の難易度パターンに違いが見られた.


座長:藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学T講座 青柳陽一郎

6.筋電義手で実用動作を獲得した5歳の先天性左全指欠損児の1例
1日下病院整形外科 
2日下病院リハビリテーション部 
3川村義肢株式会社 
1加藤弘明,2田内悠太,2山口康司,3山根好夫

 5歳男児,先天性左全指欠損例に対し筋電義手訓練を行った.合計6か月の仮義手訓練で児は洗濯物干し,縄跳びなど両手を必要とする多くの動作を獲得した.訓練には技術の習熟以上にモチベーションコントロールに工夫を要した.5歳という年齢は訓練の意義を理解でき,就学前で訓練時間も比較的とりやすいという観点から適した時期であると考えた.また,義手装着側は健側よりやや長いが,メリットの方が多く問題にはならなかった.

 

7.当院における補助人工心臓装着患者に対するリハビリテーション
JA長野厚生連佐久総合病院リハビリテーション科
宍戸康恵

 当院では,2010年8月に体外式,2012年4月に植込み型の補助人工心臓(以下,VAD)実施施設認定を受け,重症心不全患者7名にVAD治療(体外式6名,植込み型1名,平均装着日数260日(21-643日))を行ってきた.リハビリテーション(以下,リハ)開始時,高度の廃用症候群(B.I.:0点が4名,15点・20点・45点が各1名)に陥っていること,2例で脳出血を合併したこと等,VAD治療におけるリハの役割は大きい.当院でのVAD装着患者に対するリハの取り組みを報告する.

 

8重症児脆弱性骨折−大腿骨の経年的変化−
信濃医療福祉センター 
朝貝芳美

 重症児の骨は細く脆弱性骨折を生じやすい.重症児41例,健常児13例の大腿骨及び骨皮質幅の経年的変化を観察し,Insulin-like Growth Factor(IGF)-1と骨形成の関連について検討した.健常児と比較して,特にIGF-1低下例では,3歳頃より大腿骨幅の増加が悪く,骨皮質陰影が不鮮明となり,破骨細胞による骨吸収から骨芽細胞による骨形成に転じる過程が障害され,栄養,臥床,日光不足,薬物などの要因が加わって,成長期に脆弱性骨折を生じやすくなることが示唆された.
9.成人脳性麻痺者の二次障害に関する実態調査報告
愛知医療学院短期大学  
万歳登茂子

脳性麻痺の二次障害は頚髄症を中心に認識はされていても実際に対応可能な医療機関は限られる.二次障害が進行してからの受診や,ボトックス治療など新しい治療法は患者側に周知されていないのが現状である.
今回東海地区に在住する成人脳性麻痺者に二次障害に関するアンケートを実施し,回答のあった412名について,医療に関する内容を抜粋し分析した結果を報告する.

 

座長:刈谷豊田総合病院リハビリテーション科 小口和代

10.神経型Wilson病患者に対してリハビリテーションを行った1例
1藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学I講座
2藤田保健衛生大学医療科学部リハビリテーション学科
1小杉美智子,1柴田斉子,1石原 健,2太田喜久夫,1小野木啓子,2尾関 恩,1水野志保,1平野 哲,1戸田芙美,1加賀谷 斉,1才藤栄一

 【症例】17歳,男性.構音障害の自覚から約10か月後に神経型Wilson病と診断された.治療開始3か月後に,ADL改善目的に当院に転院した.転院時には重度の構音障害,摂食・嚥下障害,発動性の低下,錐体外路障害,四肢筋力低下,るいそうを認めた.8週間の訓練を経て起居や移乗動作が監視レベルになり,FIMは転院時55点から退院時75点に改善した.

 

11進行期認知症と考えられた患者に対する栄養管理とリハビリテーション−著効例の報告−
名古屋市立東部医療センター神経内科
山田健太郎,多田昌史,山田剛平,阿南知世,大村真弘,紙本 薫

 症例は80歳代の女性.前頭側頭型認知症の疑いで他院通院.HDS-Rは実施できず,食事・排泄・歩行が自力でできない状態.仙骨部褥創感染と敗血症性ショックで救急搬送・入院.褥創治療,経管栄養,胃瘻造設およびNST摂食嚥下チームの介入により最終的に経口摂取が可能でHDS-R 30点となり186日目に独歩で退院された.本例のように全身管理,栄養管理および廃用のリハビリにより,著しく改善する症例があることは,進行期認知症(と考えられる)患者におけるリハビリの適応を考える上で重要と考えられた.

 


12.関節リウマチ患者における疾患活動性と身体機能・ADL・QOLとの相関
浜松医科大学リハビリテーション科
永房鉄之,美津島 隆,赤津嘉樹,安田千里,鈴木麻美
           
 RA治療の進歩により低疾患活動性導入が可能となり, RA患者に対しても積極的なリハビリテーションが可能となった. RA疾患活動性の指標が身体機能, ADL, QOL評価を反映するか検討した. 独歩可能な女性RA患者20名(平均年齢67.7歳, 平均罹病期間15.7年)を対象とし, 疾患活動性評価 (DAS28-CRP, SDAI, CDAI, mHAQ), 身体機能評価 (10m歩行, TUG, FR, DASH), FIM, SF-36®を行い, 各相関を検討した. RAにおける疾患活動性評価は身体機能を必ずしも反映しないため, 身体機能評価も定期的に行う必要があると考えられた.


13.長野県における県外出身者の地元リハビリ病院への転院調査について
信州大学医学部附属病院高度救命救急センター 
上田泰明,岩下具美,岡元和文

 県外出身者の転院は県内者に比して,転院は難航しリハビリ開始の遅延させる.長野県内の救急病院に,長野県で入院となった県外観光者の転院状況について,疾患名,転院を申し込むまでの日数,申し込みから転院までかかった日数を調査した.脳卒中,下肢外傷,脊椎,脊髄外傷,頭部外傷が多く主にリハビリが必要な疾患であった.転院が難航していた症例は,脳卒中,頭部外傷が多く,脳損傷が長期化する因子であった.依頼を5施設以上必要とした症例が5%を占め,難航した症例もみられた.


 

総会
13:30〜13:45
研修会に先立って総会を行います.ぜひご出席下さい

 

 

 

専門医・認定臨床医生涯教育研修会
特別講演14:00〜16:15 受付開始13:00

 

「切断および脊髄損傷に対する労災病院におけるリハビリテーションアプローチ」
中部労災病院第二リハビリテーション科 部長 田中宏太佳 先生


司会:信濃医療福祉センター 朝貝芳美

「運動器リハビリテーションの治療体系を変える骨関節動態の解明」
大阪大学医学部附属病院リハビリテーション部 副部長
大阪大学大学院医学系研究科運動器バイオマテリアル学 教授 菅本一臣 先生


 司会:藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学 I 講座 加賀谷 斉

 

 

 

 

 

◎日本リハビリテーション医学会専門医・認定臨床医認定単位について
研修会認定単位:1講演毎に10単位
受講料    :1講演(10単位)毎に1,000円.
       認定単位非取得者は単位数に関係なく受講料1,000円を当日受付します.

◎認定臨床医資格要件
認定臨床医認定基準第2条2項2号に定める指定の教育研修会(必須以外)に該当します.                                     
平成19年度より「認定臨床医」受験資格要件が変更となり,地方会で行われる生涯教育
研修会も1講演あたり10単位が認められます.