第27回

日本リハビリテーション医学会中部・東海地方会

日 時:平成22年8月28日(土)10:00〜

場 所:大正製薬株式会社 名古屋支店
名古屋市千種区千種2-17-18  TEL:(052)733-8112
(地下鉄桜通線:吹上駅下車徒歩12分,JR中央線:鶴舞駅下車15分)
(全館禁煙のためご協力願います)

◎発表時間:発表7分(発表時間を厳守してください),質疑3分.

◎当日,会場にて下記受付をいたします.

1)発表形式はPCによるプレゼンテーションのみとします.

[Windowsで動画の無い場合] Windows で作成された発表データをCD-RWやUSBで持ち込むこと
はコンピューターウイルスの感染リスクがある為,CD-Rでのファイル提出を推奨します.
発表40分前には受付に提出してください.ソフトはPower Pointで作成してください.
ファイル形式は,Power Point 2003 for Windows でお願いします.

[Windowsで動画のある場合] ご自分のPCをお持ち込み下さい.コンセント用電源アダプタを
ご用意ください.

[Macintoshの場合] ご自分のPCをお持ち込み下さい.出力端子接続アダプタおよびコンセント用
電源アダプタをご用意ください.

2)演題抄録(A4サイズ1枚に収まるようにワープロにて400字以内の抄録,3語以内のkey
wordsをつけてください)をご提出ください.

◎日本リハビリテーション医学会専門医・認定臨床医生涯教育単位の取得について

1)本地方会参加により10単位が認定されます.
2)本地方会の筆頭演者は10単位が履修できます.

 

当番幹事:細江雅彦 

〒509-7201 岐阜県恵那市大井町2725 
市立恵那病院 老年内科
TEL:0573-26-2121 / Fax:0573-26-5279
E-mail:ma-hosoe@ehp-1.enat.jp

地方会

一般演題 10:00-12:00 受付開始9:30

                        

座長:岐阜大学 青木隆明

1.第22回拡大写本のつどい名古屋開催について

本郷眼科・神経内科・NPO法人愛知視覚障害者援護促進協議会
高柳泰世

 私は1981年に中途視覚障害者の社会復帰,家庭復帰を援護することを目的に愛知視覚障害者援護促進協議会(以下愛視援)を設立した.視覚に障害を持つと文字の読み書き,移動・外出など様々な制限が発生する.この制限を少しでも軽減し,QOLの向上を求めてきた.拡大写本もその一つである.この会は全国の拡大教材製作団体63団体と弱視児童生徒及び保護者が一堂に会し,情報交換の場として例年100名を超える関係者が集う.2年に1度の会で,先回初めて大阪で開催されたので,次回は名古屋でと5月16日に開催する.今回は通称「教科書バリアフリー法」が交付されて最初の会のため,「連携」をテーマに文部科学省・出版社・地域の教育委員会・ボランティア・利用者が連携をとって,様々な見え方の弱視児童生徒のために晴眼者が使うものと同じ内容の教科書で,弱視児童生徒にあった拡大教科書を「迅速・正確・適正価格」で提供出来ることを目標に企画したので報告する.

2.ペグボードを用いたプリズム適応療法におけるペグ差し速度の検討

1藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学II講座
2藤田保健衛生大学藤田記念七栗研究所
3藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学I講座
1前田博士,1岡本さやか,1園田 茂,2宮坂裕之,1岡崎英人,2近藤和泉,1水野志保,
1田中貴志,1成田 渉,1尾﨑幸恵,3才藤栄一

 我々は他学会で,左半側空間無視患者へのペグボードを用いたプリズム適応(Prism adaptation,以下PA)療法の有効性を報告した.しかし,臨床場面では同じ方法でもPAができない症例も存在する.今回はペグを差し込む速度とPA状況の検討をおこなったので報告する.
【対象】健常成人男性3名,女性3名.【方法】右に約17°偏倚するプリズム眼鏡を装着しペグをボードに差す課題を45個/分と30個/分の速さで行い,実施後に直径2.5cmの円を手元を隠した状態で指し示させPAを判定した.【結果】6例中3例は45個/分の方が指標左へのずれが大きい傾向にあった.2例では差がなく,1例では30個/分の方でずれが大きかった.
【考察】ペグボードを用いる場合,ペグを差す上肢が見えており,軌道の補正が容易な分PAが弱化される.高速のほうがPAし易かったのは,feedforward制御に近かったためと考えられる.今回の結果を左半側空間無視患者へのPAプロトコルに応用していきたい.

3.急性期脳出血患者における部分免荷トレッドミル歩行訓練の実施状況

刈谷豊田総合病院リハビリテーション科 
小口和代,江崎貞治,濱田芙美

当院では2007年11月にトレッドミル装置ADAL 3D(Tecmachine社製)を導入した.本機は左右分離したベルトで,独立した速度制御ができる分離型トレッドミルである.急性期脳出血への訓練実施状況について調査した.対象は2008〜2009年度部分免荷トレッドミル歩行訓練(BWSTT)を実施した急性期脳出血患者52名(平均年齢61歳).初発47名・再発5名,テント上49名・脳幹・小脳2名・両1名,麻痺側右21名・左29名・両2名.初回BWSTTまでの発症後日数は中央値13(最小4〜最大62)日であり,7日以内は7名だった.麻痺側や麻痺の重症度と開始時期に関連性はなかった.初回時11名において分離型で訓練した.非麻痺側より麻痺側のベルト速度を速くすると,非麻痺側への荷重と麻痺側下肢伸展をより容易に訓練できた.訓練継続困難理由は,腰痛,嘔気,精神症状悪化,恐怖感のための拒絶だった.

4.遷延性植物状態から長期に渡って回復を見せている重症脳挫傷の一例

1長野厚生連佐久総合病院リハビリテーション科
2長野厚生連鹿教湯三才山リハビリテーションセンター三才山病院内科
1太田 正,1寺岡史人,1宍戸康恵,1蔵島牧子,2黒岩 靖

 【症例】35歳の男性.転落事故で受傷し当院へ搬送.JCS200,右前頭部陥没骨折・両側前頭葉右側頭葉に広範な脳挫傷あり,緊急手術で救命.受傷後3ヵ月でリハビリテーション専門病院へ転院.【転院時所見】JCS3~20,経鼻経管栄養,気管切開,四肢の自発運動わずかにあり(バーセル指数0点).【経過】予防投与であったバルプロ酸中止を契機に意識レベルは改善傾向となり,7ヵ月で気管カニューレ抜去.1年より直接嚥下訓練開始.1年2ヵ月で起座自力で可能.1年半で発語出現し尿意を訴える.1年8ヵ月で経管栄養離脱,歩行自力で可能,尿便失禁あり.2年4ヵ月で食事自立,尿失禁消失.3年5ヵ月で退院.自発性低下・注意障害・遂行機能障害残存(バーセル指数70点)し,現在(受傷後4年8ヵ月)当院外来で認知リハビリを継続中.【考察】受傷後3ヵ月時には植物状態の定義に合致していた.前頭葉損傷による高度の自発性低下は植物状態の原因となり得るが,若年者は長期に渡って回復する可能性がある.


5.摂食機能療法回診における脳卒中と呼吸器疾患の帰結

1藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学I講座
2藤田保健衛生大学医療科学部リハビリテーション学科
3松坂中央総合病院リハビリテーション科
4藤田保健衛生大学医学部歯科口腔外科
5藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学II講座
6藤田保健衛生大学病院看護部
1山之内直也,1加賀谷 斉,2太田喜久夫,1柴田斉子,3尾関保則,4金森大輔,5田中貴志,
6石亀敬子,6三鬼達人,1飯田貴俊,1才藤栄一

 当院では2006年9月1日から摂食機能療法回診を開始し,嚥下内視鏡による評価を基に食形態などを決定している.今回は脳卒中患者,呼吸器疾患患者について,回診介入前後の食形態などを比較・検討した.2010年3月29日までに摂食機能療法回診を行った脳卒中患者は452例(平均70歳,平均介入日数35日),呼吸器疾患患者は77例(平均76歳,平均介入日数33日).脳卒中の内訳は脳梗塞が221例,脳出血が104例,くも膜下出血が74例であり,呼吸器疾患の内訳は肺炎54例,肺がん11例,呼吸不全8例,その他4例であった.脳卒中群,呼吸器疾患群とも介入前の栄養摂取状況(ESS)の中央値は経管のみであったが,介入終了時のESSの中央値は,脳卒中群が経口・調整要,呼吸器疾患群が経口<経管であり,呼吸器疾患群は脳卒中群よりもESSが有意に低かった.

座長:市立恵那病院 寺島宏明

当院の高次脳機能障害患者へのリハビリテーションの現状

1藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学II講座
2藤田保健衛生大学藤田記念七栗研究所
3藤田保健衛生大学七栗サナトリウムリハビリテーション部
4藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学I講座
1成田 渉,1園田 茂,2近藤和泉,1岡崎英人,1岡本さやか,2宮坂裕之,中川裕規,
小田さつき,林 美帆,金森理恵子,佐藤友香、4才藤栄一

 2004年9月から2009年10月までに当院回復期リハビリ病棟に入院し,問題点として「高次脳機能障害」がチェックされた患者100名を対象にした.行われた訓練方法と帰結とを症状別に集計した.訓練法の選択に関し,若干の文献的考察を加えて報告する.

長野県の小児長期入院児等支援事業について

1長野県立こども病院リハビリテーション科
2地域・支援室小児長期入院児等支援コーディネーター
1.2河野千夏,1原田由紀子,1笛木 昇

長野県では,2010年度から3年計画で小児長期入院児等支援事業が開始された.これは,妊産婦の救急搬送時に,NICUにおける長期入院児のための収容困難が社会問題となり,事業計画されたものである.事業予算の3分の1に国からの補助が得られる.事業の内容は,1)長期入院児等支援コーディネーター事業,2)各圏域の支援ネットワークづくり事業,3)資質向上事業,4)保護者等への周知活動,である.コーディネーターは非常勤で,長野県では小児科医師を配置した.県全体の協議会を設置した上で,長野県の10圏域の保健福祉事務所を中心として地域の支援連絡会を設置した.現在,長野県内の長期入院児の現状と,在宅支援の実情,関係機関との連絡調整を行っている.現状を報告する.

当科におけるリンパ浮腫のリハビリテーション

1藤田保健衛生大学医療科学部リハビリテーション学科
2藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学I講座
1尾関 恩,2加賀谷斉,2米田千賀子,2小野木啓子,2尾﨑健一,2平野 哲,2伊東加弥子,
2才藤栄一

 リンパ浮腫は,四肢の腫脹によって日常生活に制限をもたらし,管理が不十分であれば蜂窩織炎や急性皮膚炎などの合併症を発症することがある.そのため,予防や早期診断が重要であり,発症後にはリハビリを含めた適切な治療が必要である.当科では,リンパ浮腫に対し,スキンケア指導と用手的リンパドレナージ,圧迫療法,運動療法から成る複合的理学療法を行っており,その現状調査を元に今後の課題について報告する.2004年4月から2010年5月の当科受診患者18,741名中,リンパ浮腫に対するリハビリを行った309名(男53名,女256名)を対象とした.平均年齢は61±13歳(26〜94歳,中央値62歳),入院患者は133名,外来患者は176名であった.疾患内訳は子宮癌93名,乳癌92名,卵巣癌30名,下部消化器癌15名,前立腺・睾丸癌10名,その他の癌34名,原発性リンパ浮腫12名,その他23名であった.


9.骨盤部軟骨肉腫に対して,股関節再建なしの患肢温存骨盤半載術を施行した症例の機能評価

1浜松医科大学リハビリテーション科  
2和歌山県立医科大学リハビリテーション科
1入澤 寛,1美津島 隆,1山内克哉,1安田千里,1蓮井 誠,2西村行秀

 近年,悪性骨軟部腫瘍に対して,患肢温存術が行われることが一般的になっている.大きな悪性骨盤腫瘍に対しても,骨盤離断術ではなく,患側下肢の温存を行う骨盤半載術が行われ,その報告が本邦でも散見される.しかしその術後の機能予後について詳細な検討を行った報告はこれまでみられなかった.今回,われわれは患肢温存骨盤半載術を行った骨盤部軟骨肉腫の症例を経験した.症例は40代女性,右腸骨の広範な軟骨肉腫に対して,腫瘍切除,股関節機能温存手術が行われたが,感染をきたしたため患肢温存骨盤半載術が行われた.右臼蓋が失われfrail hipの状態となったため,患肢荷重時の突き上げを防止する目的で,スナイダースリング様の下腿保持型装具を用いてリハビリを行い,両松葉杖歩行自立し自宅復帰させることができた.本症例の経過および,3次元歩行分析を含めた機能評価を行ったので文献的考察を交え報告する.

10.TKA(人工膝関節置換)術前後の膝蓋骨位置における術後の可動域リハビリテーションの違いの検討

1岐阜大学医学部附属病院整形外科リハビリテーション部
2市立恵那病院
1青木隆明,1山岸宏江,1寺島宏明,1清水克時,2細江雅彦

 今回我々はTKA(人工膝関節置換)の術後の患者において,膝関節の可動域の獲得における違いについて膝蓋骨の位置の違いに注目し,昨年からTKAを施術した患者39名(関節リウマチ患者を除き,変形性膝関節による置換術の患者を対象)の膝蓋骨の術前後の位置をX-p側面画像で計測した.その上で膝関節の可動域の獲得角度とリハビリ期間・疼痛の有無の違いを検討した.その結果,術前より膝蓋骨の位置の上昇率が高いもの程,疼痛も少なく可動域を早い時期に獲得できていることがわかった.そこでリハビリの際,膝蓋骨の位置によって大腿四頭筋の緊張の緩和のアプローチを変えることで可動域の獲得などをより早くできるよう検討したので報告する.


総会

13:30〜13:45

研修会に先立って総会を行います.ぜひご出席下さい

専門医・認定臨床医生涯教育研修会

特別講演14:00〜16:15 受付開始13:00

脊髄小脳変性症の臨床・分子遺伝学〜最近の話題

 山梨大学大学院医学工学総合研究部神経内科学講座 教授 瀧山嘉久先生

司会:市立恵那病院老年内科 細江雅彦

リハビリテーションに利用できる温泉医学

 国際医療福祉大学大学院リハビリテーション学分野 教授 前田眞治先生

      司会:長野県厚生連鹿教湯三才山リハビリテーションセンター 泉 従道

◎日本リハビリテーション医学会専門医・認定臨床医生涯教育単位の取得について

1)ご自身の登録番号を確認する為, 生涯教育研修記録証をご持参下さい.
2)研修会参加により1講演毎に10単位が認定されます.
3)1講演(10単位)毎に受講料1,000円.
認定単位非取得者は単位数に関係なく受講料1,000円を当日受付します.

◎認定臨床医資格要件

認定臨床医認定基準第2条2項2号に定める指定の教育研修会(必須以外)に該当します.平成19年度より「認定臨床医」受験資格要件が変更となり,地方会で行われる生涯教育研修会も1講演あたり10単位が認められます.