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総合医科学研究所、「脳関連遺伝子機能の網羅的解析拠点」として 「平成27年度からの共同利用・共同研究拠点」に認定


同拠点の認定については、中日新聞(平成27年4月16日付)にて報道されました。

拠点認定について

藤田保健衛生大学総合医科学研究所(*1)は、本年4月、文部科学大臣より「平成27年度からの共同利用・共同研究拠点」の「脳関連遺伝子機能の網羅的解析拠点」として認定を受けました(代表者:総合医科学研究所所長・橋本 敬一郎)。さらに、新たに大臣認定を受けた共同利用・共同研究拠点を対象とした文部科学省の平成27年度「特色ある共同研究拠点の整備の推進事業~スタートアップ支援 ~」による補助金交付も決定しました。共同利用・共同研究拠点として本補助事業に採択されるのは、私立医科大学としては初めての快挙です。

事業の紹介

【学術的背景】全ての遺伝子の80 %以上は脳・神経系で発現しているといわれていますが、これらの脳関連遺伝子の多くは未だにどのような働きをしているのかよくわかっていません。今日、シークエンシング技術の急速な進歩により、迅速で安価に実施できる個人の全ゲノム解析が一般に普及しつつあり、脳関連遺伝子の生体での機能の解析はますます重要になってきていています。これらの遺伝子の機能についての知見は、生物学的・基礎医学的研究のみならず、創薬シーズの探索や遺伝カウンセリングなど広く一般社会での活用が見込まれています。

【事業の内容】本事業では、脳関連遺伝子について包括的な機能解析を行うための拠点を整備し、主として脳・神経系に発現する遺伝子の改変や薬剤投与等を行ったマウス(*2)を保有する研究者を対象とした支援的共同研究を行います。
1) 共同研究拠点の整備の推進
拠点としてスタートアップするための実験設備、広く日本全国への公募の周知や課題申請手続きの簡略化が可能な専用ウェブサイト、学内宿泊施設の提供による共同研究の支援体制、といった各種インフラ・研究環境の構築・整備・拡充を行います。
2) 支援的共同研究の実施
 公募により課題が採択された被支援研究者は、可能な限り人員を本拠点に派遣し、本拠点の各実験担当者の指導のもと、以下の実験・データ解析を行います。
・個体レベルの解析:遺伝子の改変や薬剤投与等を行ったマウスの網羅的行動解析(*3)
・分子・細胞・組織レベルの解析:行動異常が認められたマウスの組織サンプルを用いたトランスクリプトーム解析・エピゲノム解析(*4)および、mRNAスプライシング解析(*5)、プロテオミクス解析(*6)・免疫関連分子群の機能解析や全身の代謝状態の解析
これらの各種の先端的技術を組み合わせた包括的な解析を行うことにより(図1参照)、脳・神経系に発現する遺伝子の機能について明らかにしていきます。

図1:本事業では、脳・神経系に発現する遺伝子の改変や薬物投与などの処置を行ったマウスを保有する
研究者を対象とした支援的共同研究を行います。個体レベルの解析で異常がみられたマウスについて、
分子・細胞・組織レベルでの解析を行い、脳関連遺伝子の機能について包括的に明らかにしていきます。

脚注・用語解説


*1: 総合医科学研究所
1964年、故・藤田啓介博士が藤田学園を創立した際に建学の理念として掲げたのが「獨創一理(どくそういちり)」であり、これは「誰もがもつ創造力で新しい時代を切り拓いていこう」という考え方を示したものです。総合医科学研究所は、この建学の理念「獨創一理」の下、学部・学科や大学の壁を越えて、基礎および臨床医学、パラメディカルな領域を有機的に統合し、関連領域研究を包括的に推進することを目的に設立された研究所です。医療系私立大学としてはユニークな、専任研究者を配した附置研究所で、遺伝子から、タンパク、細胞、組織、行動レベルまでの広い範囲の解析技術を得意分野とする5つ研究部門から構成されています。

*2: マウス
げっ歯類であるマウスの遺伝子の99%はヒトにも対応した遺伝子(ホモログ)があり、これらは遺伝子ターゲティング等の技術の応用により自由自在に操作することが可能です。遺伝子ターゲティング技術によって遺伝子が改変されたマウスは、個々の遺伝子の機能に加え、精神・神経変性疾患との関連性などを調べるために広く活用されています。こうした遺伝子改変や薬剤投与等を行ったマウスモデルは、個体レベルでの解析だけでなく、個体から採取したサンプルを用い、組織、細胞、分子レベルでの多彩な解析に適用できるという利点があります。

なお、本事業におけるマウスを用いた実験は、藤田保健衛生大学疾患モデル教育センターの指導・監督のもとで実施します。藤田保健衛生大学では、学長の責任の下「動物の愛護及び管理に関する法律」、「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」(環境省)、「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本方針」(文部科学省)に則り、動物を用いた実験が倫理的かつ科学的に遂行されるように取り組んでいます。
*3: 網羅的行動解析
感覚・運動能力、情動、社会性、記憶・学習などの様々な行動カテゴリーのテストを組み合わせ、同一の被験体に対して順番に実施することで、マウスの行動特性を評価する解析方法です。本事業では、同方法により必要最小限の被験体を用いて、少ない労力と時間で効率的にマウスの行動異常のスクリーニングを行います。

*4: トランスクリプトーム解析・エピゲノム解析
それぞれ、遺伝子転写物(トランスクリプトーム)、DNAやヒストンの化学修飾(メチル化、アセチル化など)が規定する遺伝情報(エピゲノム)を解析する方法です。本事業では、行動異常が認められたマウス組織において、次世代シーケンサーを用いて、全ゲノムレベルでの遺伝子発現量解析や、メチル化領域の同定などの解析を行います。

*5: mRNAスプライシング解析
タンパクの元となるmRNAは、選択的スプライシングという過程を経てその配列に編集を受けます。またスプライシングの異常は、脳・神経疾患との関連が示唆されています。本事業では、行動異常が認められたマウス組織を用いて、行動特性とmRNAスプライシングの関連性について解析を行います。

*6: プロテオミクス解析
細胞や組織内のタンパクの発現を網羅的に解析する方法です。本事業では、行動異常と関連して発現量が変化するタンパクの同定などの解析を行います。