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2019年度進捗状況報告


2019年度の実施目標及び実施計画

[研究活動]
基礎研究と臨床研究を並行して、画像・代謝ネットワーク解析システムによりうつ病などをモデルにして精神神経疾患の多因子病態メカニズムを解明する。具体的には精神神経疾患に関与する[新規ターゲット分子の探索と同定]、ストレスなどによる[精神神経疾患の病態メカニズムを解明]する。他方、臨床研究として、本大学病院で蓄積された低侵襲画像診断や、臨床検体のゲノム解析、代謝動態解析を行い、それらの結果を統合した多次元的解析の実例を提案する。

[ブランディング戦略]
研究分野広報で力点を置いて広報活動の充実をはかる。また、ブランディングの一環として[国際連携体制]を強化する。特に、研究分野広報に力点を置いてビジョンに沿った大学の独自色情報を発信する。

[研究活動]
<新規ターゲット分子の探索および同定>
本学が所有するリソースの網羅的メタボロミクスにより以下※の病態変化を伴うターゲット分子
を同定する(岩田仲生・武藤多津郎)。
※1. 健常から精神神経疾患の発症前(不健康状態)の過程で変動する分子
 2. 精神神経疾患の病因の違いと関連する分子
 3. 治療反応性・副作用発現に関連する分子
<精神神経疾患における多因子病態メカニズムの解明>
・本学で優位性・独自性を有するターゲット分子について、
 1.ストレスや薬物などの環境要因薬理学的疾患モデル動物を用いてターゲット分子の発現・機能解析・行動解析を行う。
 2.その行動異常の発症前後における経時的な画像・代謝オミックス解析を行い、ストレスなど精神疾患における病態
  メカニズムを解明する(総合医科学研究所 システム医科学研究部門 教授 宮川剛)。
・新規に同定されたターゲット分子について、
 CRISPER-Cas9システムを利用して責任酵素の遺伝子改変動物を作出、それらの行動解析を中心に表現型を明らかにする
 (疾患モデル教育研究施設 施設長 長尾静子)。
 並行して、低侵襲画像診断や、臨床検体のゲノム解析、代謝オミックス解析を行い、それらの結果を統合したうつ病などの
 新たな病態モデルを提案する(長尾静子)。
[ブランディング戦略]
大学のビジョン実現に向けたアクションプランの進捗を情報発信する。また、これまで20年に渡り国際交流を行ってきた韓国(国立江原大学校)・中国(瀋陽薬科大学)・台湾(国立台湾大学)から留学生を受け入れて[国際連携]を強化するとともに国際シンポジウムを開催する。
そのアクテビティーは大学パンフレット他 入試広報物に情報発信する。

[各年度の目標の達成度の評価法]
中間年度としての国際ミーティングを開催し、これまでの研究成果を振り返り、更なる発展のための課題・最新技術についての情報共有を行う。学内外の評価委員会に必要に応じて報告し年1回の評価を受ける。

事業成果

[研究活動]
基礎研究と臨床研究を並行して、画像・代謝ネットワーク解析システムにより統合失調症をモデルにして精神神経疾患の多因子病態メカニズムを解明した。臨床研究として、本大学病院で蓄積された低侵襲画像診断や、臨床検体のゲノム解析、代謝動態解析を行い、それらの結果を統合した多次元的解析を行った。
                     
[新規ターゲット分子の探索および同定]
・岩田グループは本事業において構築した藤田バイオバンクシステムを活用し、双極性障害および統合失調症患者におけるゲノムワイド関連解析により、日本人だけでなく多民族でも共通する関連遺伝子群を同定した。
・武藤グループは神経疾患患者から経年的に収集された患者の脳画像データや臨床情報のバイオリソースへの統合化を行い、脳脊髄根末梢神経炎の病態における糖脂質異常および自然免疫の関与およびパーキンソン病におけるオートファジー・ライソソーム機能異常の関与を明らかにした。
・長尾グループは精神神経疾患におけるトリプトファンーキヌレニン代謝経路の関与、常染色体優性多発性嚢胞腎における責任遺伝子であるPKD1遺伝子の関与を詳細に明らかにするために、CRISPER-Cas9システムを利用して遺伝子改変マウスの設計・作製を行った。
・宮川グループはマウスの網羅的行動テストバッテリーにより、精神疾患様行動異常を示すかどうか202系統解析するとともに、カルシウムイメージングによる神経活動を測定することで病態解明を行った。
・外山グループはプレクリニカル超高磁場MRI装置による生体マウス脳の画像解析法の開発を行い、神経疾患や精神疾患の要因でもある脳低灌流状態の低侵襲画像検出法の開発を行った。
・湯澤グループは糖尿病性腎症の病態についてトリプトファン・キヌレニン代謝経路に注目した網羅的メタボローム解析・イメージングMS解析を開発し、ヒトと動物モデルでの解析により、糖尿病性腎症の病態解明と診断バイオマーカーを開発した。
[国際連携・産学連携による精神疾患に対する治療薬開発]  
・鍋島・斎藤グループはトリプトファン代謝経路の網羅的メタボローム解析を開発し、暦年的サンプルを用いた抑うつ・産後うつにおけるトリプトファン代謝経路の変化を明らかにした。中国・台湾・韓国・インドネシアとの共同研究の実施・留学生受け入れを行い、植物抽出物成分の精神疾患治療薬としての評価を行った。産学連携により、抗うつ効果を有する機能性食品の開発を行った。

[ブランディング戦略]
研究分野広報で力点を置いて広報活動の充実をはかり、ブランディングの一環として国際連携体制を強化した。
1.2019年6月4日に第5回学内研究シーズ・ニーズ発表交流会にて、鍋島・斎藤グループの毛利彰宏が「ブランディング事業における精神神経疾患バイオマーカー探索と治療薬開発」について発表を行い、学内研究者と共同研究の打ち合わせを行った。
2.2019年10月9日~11日にパシフィコ横浜にてBioJapan2019が開催され、宮川グループの小清水久嗣と鍋島・斎藤グループの毛利彰宏が藤田医科大学ブランディング事業の成果発表し、国内外から企業・行政関係機関、アカデミア等と、シーズの導入から技術提携の商談を行った。
3.2019年10月14日にキャッスルプラザ名古屋にて、藤田医科大学ブランディング事業国際シンポジウムが開催され、学内外から約120名が参加、メルボルン大学(オーストラリア)Braian Dean先生、ハサヌディン大学(インドネシア)Andi J Tanra先生、国立台湾大学(台湾)Lih-Chu Chiou先生および医療科学部長 齋藤邦明先生が講演された。
4.2019年11月13日に藤田医科大学の市民公開講座にて、鍋島・斎藤グループの毛利彰宏が「うつと生活習慣」について講演を行った。
5. 国際交流として、インドネシア(ハサヌディン大学)から留学生を受け入れ、共同研究を行った。

本事業に関わる業績成果
欧文雑誌100報、学会発表87報の報告をすることができた。

補助金の使用状況

精神神経疾患のモデル動物の組織学的な解析を行うため、共焦点レーザースキャン顕微鏡を購入した。
インドネシアの伝統的な治療薬の評価方法を修得及び、精神神経疾患モデル動物作成方法の習得のため、インドネシア(ハサヌディオン大学)より留学生1名を受け入れて、日本での滞在費及び研究費に使用した。
研究ブランディングの広報戦略を行うにあたり、研究分析・論文業績管理等を行う情報ツールPUREをエルゼビアジャパンと契約し、本学ホームページと連携することで研究者情報を広く世界に発信している。
国際的に著名な海外の研究者3名を招いて、ブランディング国際シンポジウムを2019年10月14日開催した。
ポストドクター2名、研究補助員1名を雇用しメタボロミクスシステムによる検体測定の業務を行なった。

研究機器購入費 11,642千円
消耗品等購入費 9,455千円
研究旅費    373千円
留学生滞在費 1,108千円
広報戦略費 2,071千円
人件費 9,894千円
シンポジウム開催費 1,773千円
その他 2,684千円