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基本動作・呼吸訓練

Q;腰〜下腿にかけての緊張・痛みを訴える患者に対するリラクセーションについて
A;講義でお話したように,局所の筋肉が緊張・痛みを有している場合には,温熱やマッサージなど施行する手段がありますが,ご質問の患者では,局所というよりは,全身を捉える必要があります.この場合,座位でのリラクセーションを図ることが重要で,体幹・四肢のポジショニングが重要になってきます.その患者に応じたリラクセーションポジションを見つけ,特に車椅子座位ではパーツとして様々なパッドをあてがうなど工夫が必要なことも多いと思います.患者によっては精神的なアプローチも重要と考えます.

Q;移乗時のベッド・車椅子角度と人工呼吸器患者に対する呼吸訓練について
A;1)移乗時のベッド・車椅子角度について
 車椅子からベッドへ移乗する際,車椅子の付ける角度は何度が良いかということについて,いくつか文献を見てみますと,多くは30-45度に設定することが望ましいと書かれています.このばらつきですが,30度とするのは,車椅子とベッドとの間隔が狭い場合,また,患者を一人の介護者が全介助で移乗させる場合に適していると思います.これは患者も介助者も移動距離が少なくて済むからです.一方,40-45度というのは,ベッドと車椅子の間隔が十分あり,かつ患者の移動能力があり,患者が立ち上がった後で臀部をベッドに向けるため,健側下肢を1歩前方に踏み出すことを許すため,あえて角度を多く設定するという方法です.どちらにしても,患者の移動能力に応じて角度は調整した方が良いでしょう.
2)人工呼吸器患者に対する呼吸訓練については,今回お話しした方法の中では,ドレナージの手技がよく用いられ,排痰訓練を実施していることが多いこと,それから,呼吸介助手技(今回は説明をしなかった)を用い,患者の呼吸介助を行っていることが多いのが現状です.

Q;長期車椅子使用患者の姿勢改善について
A;下顎が挙上し,体幹が前傾している患者の姿勢改善については,まず臥位(側臥位)で頚部伸展筋の緊張をとるために,温熱・マッサージを施行することをお勧めします.その後,座位で体幹を伸展させるための訓練(高齢者であれば輪投げを上前方に置き,取らせるなど理解しやすい訓練内容を指示すると良い)を行ってみて下さい.
 尚,体幹が前傾してしまう理由がもし体幹筋の筋力低下が著明ならば筋力強化を積極的に行った方が良いでしょう.

(早川美和子)

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