グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



トップページ >  新着情報 >  神経障害性疼痛によるうつ病モデル動物を開発した Ipek YALCIN 博士をお招きし講義を行なっていただきました。

神経障害性疼痛によるうつ病モデル動物を開発した Ipek YALCIN 博士をお招きし講義を行なっていただきました。


 
うつ病は、各国で5-15%の人が生涯に1度は罹患するといわれている身近な病気ですが、その病態や発症メカニズムについては未だよくわかっていません。うつ病の病態や発症メカニズムを解明するためには、ヒトのうつ病を模倣するようなモデル動物を開発し利用することが不可欠であると考えられています。

このたび来日された仏国ストラスブール大学のIpek YALCIN博士は、坐骨神経cuff(カフ)モデルという神経疼痛によるうつ病モデルマウスを開発し、慢性的な神経痛によって起こるうつ状態の脳内メカニズムについて精力的に研究を展開されている研究者の一人です(参考文献1,2,3)。本講義では、この坐骨神経カフモデルの作製方法や、同モデルを利用して明らかになってきた痛みとうつ病の脳内メカニズムに関する最新の知見について講義を行なっていただきました。

現在、我々の研究室では、日本医療研究開発機構(AMED)の脳科学研究戦略推進プログラム(脳プロ)「臨床と基礎研究の連携強化による精神・神経疾患の克服(融合脳)」事業に参加し、うつ病モデルマウスの開発と応用に向けた基礎的研究を進めています。講義終了後、当研究室で得られた成果について紹介し、Ipek YALCIN博士と議論を交わしました。今後、うつ病の克服に向けて協力し合いながら研究を進めていく予定です。

2018年3月5日開催 講義の様子 右から2人目:Ipek YALCIN博士

参考文献
1. Yalcin I, Bohren Y, Waltisperger E, Sage-Ciocca D, Yin JC, Freund-Mercier MJ, Barrot M., A time-dependent history of mood disorders in a murine model of neuropathic pain. Biological Psychiatry 70:946-953. doi: 10.1016/j.biopsych.2011.07.017. (2011)
2. Barthas F, Sellmeijer J, Hugel S, Waltisperger E, Barrot M, Yalcin I. The anterior cingulate cortex is a critical hub for pain-induced depression. Biological Psychiatry 77:236-245. doi: 10.1016/j.biopsych.2014.08.004. (2015)
3. Barthas F, Humo M, Gilsbach R, Waltisperger E, Karatas M, Leman S, Hein L, Belzung C, Boutillier AL, Barrot M, Yalcin I. Cingulate Overexpression of Mitogen-Activated Protein Kinase Phosphatase-1 as a Key Factor for Depression. Biological Psychiatry 82:370-379. doi: 10.1016/j.biopsych.2017.01.019. (2017)