鈴村 彰太   大沢 愛子   植田 郁恵   森 志乃   近藤 和泉   前島 伸一郎   
脳卒中 39(4) 292-298 2017年7月
失行は日常生活活動(activities of daily living:ADL)に大きな影響を及ぼすが、症候が複雑で行為の誤り方に個別性・多様性が存在するためリハビリテーション手法の確立は困難で、その障害や治療に関する詳細な検討もほとんどない。我々は左頭頂側頭葉のアテローム血栓性脳梗塞で、ごく軽度の右片麻痺と感覚障害に加え、観念失行・観念運動失行・肢節運動失行を呈した82歳女性を経験した。特に食事動作に関し、右手では困難な動作をまず左手で実施し、その後道具を右手に持ち替える方法を取り入れ...