中岡 和徳   大野 栄三郎   田中 浩敬   橋本 千樹   葛谷 貞二   廣岡 芳樹   
胆と膵 44(4) 321-327 2023年4月
肝門部領域胆管癌においては肝葉切除術以上の広範肝切除術を要する症例が多い。広範肝切除術を施行する場合は術後合併症による死亡率が5%前後と高率であり,主な死因が肝不全であることから,高度黄疸例には術前胆道ドレナージを行うことが推奨される。一方で,肝門部領域胆管癌の黄疸を認める肝葉切除術であっても(1)黄疸が軽度であり,(2)全身状態および肝予備能が比較的良好で,(3)肝切除量が少なく,待機期間の短い例においては,術前胆道ドレナージの必要がないとも報告されている。これまでのエビデンスから,肝門...