三浦 康生   藤井 紀恵   
臨床血液 61(8) 953-958 2020年8月
培養増幅した同種ヒト骨髄由来間葉系幹細胞は造血幹細胞移植に伴う急性移植片対宿主病に対する治療薬として臨床で使用されている。間葉系幹細胞製剤は重篤な早期有害事象を伴わずにある一定の治療効果を示す。しかしながら,難治性急性移植片対宿主病に対する間葉系幹細胞治療の現状は進化が必要であろう。近年,細胞外小胞が持つ細胞間情報伝達物質として機能の重要性が認識されている。我々は,ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(間葉系間質細胞)が放出する細胞外小胞が末梢ナイーブT細胞を保持し,急性移植片対宿主病の病態を改善する...