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着床前診断について



着床前診断のれきし

着床前診断による世界で最初の妊娠は、1990年に報告されました。日本では、2004年に初めて重篤な遺伝性疾患の1つであるデュシェンヌ型筋ジストロフィーにおいて着床前診断の実施が認められました。
世界における着床前診断に対する考え方は、歴史的背景や宗教的・社会的背景などが考慮されるため国によって異なります。日本では、着床前診断は未だ一般的な検査・治療法ではなく、安全性や有効性を確かめる臨床研究段階とされています。

着床前診断と出生前診断の違い

着床前診断

体外で受精させた胚の染色体や遺伝子の検査を行い、病気を持たない可能性の高い胚だけを選択し、子宮に戻して育てることです。着床前診断は出生前診断とは違い妊娠前に行います。しかし、誰でも受けられるわけではありません

出生前診断

妊娠10週前後の胎盤の一部の絨毛細胞をとって検査する絨毛検査と、妊娠16週前後に羊水をとって検査する羊水検査があります。しかし破水や流産などの合併症を起こすことがあります。そのため、出生前診断に関する十分な説明を医師や医療者から受け、夫婦で検査をするかどうかを十分に話し合う必要があります。出生前診断を受けることを医療者から強要することはありません。また妊娠中は定期的に超音波検査で胎児の様子を調べるため、広い意味で出生前診断に分類されます。


着床前診断のイメージ


着床前診断の対象となる方

1. 染色体の構造変化を原因とした流産を繰り返す方。
2. 重篤な遺伝性疾患の体質を持つ児を出産する可能性がある方。

重篤な遺伝性疾患とは
「生命予後が不良で成人に達する以前に日常生 活を強く損なう症状が発生したり生存が危ぶまれる疾患」のことを指します。具体的には、副腎白質ジストロフィーやデュシェンヌ型筋ジストロフィーなどが含まれます。


染色体の変化とは

染色体

※基本的に大きい順に番号がついています

染色体を顕微鏡で見ると左のように見えます。多くの方が、2対22組+性別を決めるXとYの染色体があります。合計46本の染色体は、それぞれお母さんとお父さんから1本ずつもらっています。これは、私たちの体を作る設計図なので、本数が多かったり少なかったり(数の変化)、大事な情報があるところで変化する(構造の変化)と病気の原因になることがあります。

染色体の変化の種類

染色体の変化には「数」の変化と「構造」の変化の2種類があります。
着床前診断の対象は「構造」に変化があるご夫婦です。しかし、構造に変化があっても、染色体の量に過不足のない「均衡型」と呼ばれる変化を持つ場合は、染色体上に書き込まれている遺伝子自体を壊さない限り影響はありませんが、妊娠・出産のときに「不妊症」「不育症」などの原因になることがあります。

着床前診断に関する日本産婦人科学会の報告

(日産婦誌69巻9号参照)
対象:1995年5月~2015年3月
1.遺伝性疾患の認可
1)神経筋疾患
・筋強直性ジストロフィー ・副腎白質ジストロフィー ・Leigh脳症 ・福山型筋ジストロフィー 
・脊髄性筋萎縮症 ・Pelizeus-Merzbacher ・先天性ミオパチー
2)骨結合織皮膚疾患
・骨形成不全症Ⅱ型 ・成熟型遅延骨異形成症 ・拘束性皮膚障害 
3)代謝性疾患
・オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症   ・PDHC欠損症(高乳酸高ビリルビン酸血症)
・5,10-Methylenetetrahydrofolate reductase欠損症
・Lesch-Nyhan症候群 ・ムコ多糖症1 1 Hunter ・グルタル酸尿症Ⅱ型
4)血液免疫
5)奇形症候群
6)染色体異常 重篤な遺伝性疾患児を出産する可能性のある染色体構造異常
7)その他 X連鎖性遺伝性水頭症

着床前診断のメリット・デメリット

メリット

  • 遺伝性疾患が遺伝する可能性のあるご夫婦が子供を持つことを諦めなくて良い。
  • 出生前診断と比べて検査そのものの胎児や母体に対する侵襲度が低い。
  • 妊娠前に行うため中絶による精神的・身体的負担が軽減される。

デメリット

  • 病気の原因の有無がわかっても、疾患によっては個々の症状の有無や程度についてはわからないことが多い。
  • 着床前診断の歴史が浅いため、胚盤胞を操作したことによる出生後の長期的なリスクが不明である。
  • 日本産婦人科学会でご夫婦ごとに審査されるため対象が限られる。
  • 費用が高額になる。日本産婦人科学会では、妊娠後の出生前診断を推奨しています。

着床前診断の流れ


遺伝カウンセリングとは

  • 遺伝に関わる悩みや不安、疑問などを持たれている方々に、まず科学的根拠に基づく正確な医学的情報を分かりやすくお伝えし、理解していただけるようにお手伝いいたします。その上で、十分にお話をうかがいながら、自らの力で医療技術や医学情報を利用して問題を解決して行けるよう、心理面や社会面も含めた支援を行います。

  • 原則として自費診療になっており、施設ごとに価格が設定されています。一般的には5千円~1万円程度の施設が多いようです。施設によって料金設定が異なるので、遺伝カウンセリングを受けようとお考えの施設にお問い合わせください。  また、特定の遺伝性疾患に対しては遺伝学的検査に保険が適応されています(平成30年度改定)。