セミナートップ  今後の予定  過去の一覧  会則について 

第111回七栗リハビリテーションセミナー

日程

2018/7/30(月)18:30-20:00

講師

吉村芳弘先生  熊本リハビリテーション病院 リハビリテーション科・副部長

演題名

サルコペニア診療ガイドライン2017とリハビリテーション栄養ー脳卒中治療を含めて

講演内容

サルコペニアとは、加齢や疾患により、筋肉量が減少することで、握力や下肢筋・体幹筋など全身の「筋力低下が起こること」を指す。または、歩くスピードが遅くなる、杖や手すりが必要になるなど、「身体能力の低下が起こること」を指す。この用語は、ここ最近PubMedでもヒット数が激増しており、世界の医学急上昇ワードとなっている。日本リハビリテーション医学会でも非常に重要な治療対象の一つとして扱われている。2017には世界で初めて、日本から「サルコペニア診療ガイドライン」が発刊された。

 サルコペニアの原因として、加齢、低活動、低栄養、病気(疾患)があげられる。サルコペニアの診断には、握力、歩行速度、筋量の要素によって決定される。
 実態調査の結果、急性期病院の入院患者では14.7%にサルコペニアが発症、回復期リハビリ病棟では50%ほどの発症が認められている。 

  サルコペニアへの治療は、運動と栄養が中心となる。栄養単独の付加では筋力が改善しないことが指摘されているため、二つを同時に介入することが重要である。講師の所属する回復期リハビリテーション病棟では、多職種から構成された栄養サポートチームにより、患者の栄養状態、運動などに介入している。特に栄養で工夫しているのは、中鎖脂肪酸(MCT)を付加したご飯を提供することで高カロリー、高タンパクの食事を提供することができる。この中鎖脂肪酸は燃焼速度が速いため、身体に脂肪がつきにくい特徴があるだけでなく、食欲亢進にも寄与する可能性も報告されている。この栄養付加により、患者さんの体重変化や、FIM効率、入院期間などで優位な結果が認められている。効果を出すためには、栄養の付加だけでなく、適切な運動負荷が必要となる。病棟では集団起立訓練を1日2回(120回×2)を個別リハ以外で提供している。

適切な栄養管理と適切な運動負荷を実現させることで、患者さんの身体機能やADL能力の改善につながる可能性が考えられた。

会場

アスト津

<2018.10.10> 

                                                                  

 

    

↑ PAGE TOP